第4話 事件発生!

今日も街の人達の依頼をこなそうと、リドと城の外へ向かっていると…-。

リド「ん?」

リドのお兄さんであるカランさんが、身なりのいい男性と共に廊下の向かいから歩いてきた。

カラン「リド、それに〇〇様も」

私達に気づいたカランさんが、にこやかに歩み寄ってくる。

けれどすぐに、リドの服装をまじまじと見て眉をひそめた。

カラン「……リド。その格好はなんだ」

リド「深くは追及しないでくれ」

きっぱりと答えるリドに、カランさんが深いため息を吐く。

カラン「まったく、〇〇様まで付き合わせて……」

〇〇「いえ。私が好きでやっているので」

すると、カランさんの隣にいる男性が声を出して笑った。

男性「まあまあ、よいではないですか。国が平和な証拠ですよ」

リド「そちらは?」

カラン「貿易商の方だ。世界中を回って商いをしておられる」

貿易商の男性「どうぞ、以後お見知りおきを」

その男性は、交易に関する相談で城を訪れているとのことだった。

リド「よろしくお願いします! ……ん?」

挨拶を交わしたリドの視線が、ふと男性の手元に移る。

私も思わず男性の手元を覗き込もうとしたけれど……

カラン「リド、あまり〇〇様にご迷惑をかけないように」

カランさんの声が聞こえ、反射的に顔を上げた。

リド「わかってるって!」

カランさんは別れの挨拶の代わりに私に微笑むと、男性と共に立ち去っていった。

リド「……あの人もやられたのかな」

〇〇「え?」

リド「いやさ……」

言いかけたリドが、ハッと目を見開く。

リド「っと! いけねえ。行こうぜ!待ち合わせに遅れちまう」

私もそれ以上は気に留めず、彼と依頼主の元へ向かったのだった…-。

……

そして街での依頼を終え、城に戻ると…-。

リド「……なんだ?」

もう日もすっかり落ちているのに、城内がやけに騒がしい。

カラン「検問を敷け! すぐにだ!」

カランさんの鋭い声が場内に飛んでいる。

(いったい何が……?)

カラン「リド、〇〇様……」

リド「兄貴、何があったんだ?」

私達が駆け寄ると、カランさんは周囲を警戒するように声をひそめた。

カラン「保管していた城の宝石が、何者かに盗まれた」

〇〇「……!」

告げられた事実に息を呑む。

カラン「まだそう遠くへは行っていないはずなんだが……なんという失態だ」

リド「城内に怪しい奴は?」

カラン「……外からの客人は城に留め、部屋や所持品などを隈なく調べさせてもらっている。 だが、全く見つけられない。とんだ失礼を働いてしまっているな」

しばらく、リドは肩を落とすカランさんを見つめていたけれど……

リド「……オレが見つけてみせるよ。 オリブレイトの大事な宝石が盗まれたんだ、黙っちゃいられねえ」

カラン「だが……」
   
リド「探偵としてのオレの腕を、なめてもらっちゃ困るぜ?」

〇〇「リド…-」

いてもたってもいられず、私も手伝いを申し出ようとすると……

リド「わかってるって。あんたも、手伝ってくれるって言うんだろ?」

〇〇「どうしてわかったの?」

リド「どうしてって……あんた、わかりやすいから。 頼りにしてるぜ? オレの助手さん」

リドは私の頭にぽんと手を乗せた後、表情を引きしめた。

リド「けど……約束しろ。絶対に無理だけはするな」

〇〇「……わかった」

いつになく真剣なその眼差しは、彼が心から私を案じてくれていることを教えてくれていた…-。

<<第3話||第5話>>