第2話 美食を求めて

一緒に収穫祭の街を楽しもうとネペンテスさんに誘われて、二人で、活気溢れる街を歩き始める。

ネペンテス「はるばるロトリアを訪れたからには、まだ見ぬ食を追及しなければ……」

熱を込めて言うネペンテスさんに、少しだけ困惑する。

(やっぱり相変わらず、食に対してすごく熱心なんだな)

○○「楽しみですね。どんな食べ物があるのか」

ネペンテス「おお……っ! あなた様もそう思われますか?」

○○「あ、えっと……」

ネペンテスさんが嬉々として目を輝かせるので、またしても戸惑ってしまう……

ネペンテス「では、さっそく参りますよ!」

ネペンテスさんに誘われ、収穫祭で賑わう街を歩いていると……

ネペンテス「ああ、何ともグロテスクで不思議なかぼちゃ……」

ネペンテスさんが、店先のかぼちゃのような食べ物を指差して恍惚とした顔になった。

それは、かぼちゃにしては不思議にひしゃげていて、おどろおどろしい色の斑点模様がついている。

(あれはかぼちゃなのかな? ……ちょっと不気味な感じがするけど)

収穫祭らしくいたずらと遊び心のある食べ物だと言えば、納得できるものの、さすがに口にしたいとは思えないようなものだった。

ネペンテス「店主、これを一つ、いただけますか」

店主「はいよ!」

(やっぱり食べるんだ……)

ネペンテス「この見目からは想像できない味だろうことが、何よりも楽しみで……」

ネペンテスさんは目を輝かせながら、大きく口を開けて、一口かじった。

すると……

(あれ、ネペンテスさん急に表情がなくなったような)

ネペンテス「……。 では、次に参りましょうか」

○○「え? ネペンテスさん?」

ネペンテスさんは、かぼちゃをそしらぬ顔で店先に並べ直し、さっさと歩き出してしまった。

○○「あの、どうしたんですか?」

ネペンテス「予想通りでした」

○○「え?」

ネペンテス「予想通りだったのです。ですから、あれ以上食べる価値がありませんでした……」

心底残念そうな顔をして、ネペンテスさんは深いため息をつく。

ネペンテス「ここへ来てから、まだ一度も満足のいく料理に出会っていません」

○○「でも、これから出会えるかもしれないですし……」

ネペンテス「ああ、そうでした! 街に漂う食べ物の香りにつられて忘れるところでしたが……」

ネペンテスさんは、歩みを止めて、くるりと私に向き直る。

ネペンテス「仮装をしてパーティに出れば、特別な美食にありつけると、ウィル王子に聞いていたのです」

(ウィルさん……?)

(そういえば、今回の収穫祭は映画の国のウィル王子がプロデュース、って書いてあった)

私は招待状に書いてあったことを思い出す。

ネペンテス「早速、仮装の衣装を城へ取りに行かなければ」

ネペンテスさんは、よだれを垂らしそうな顔をして、踊るように歩き出した。

城へ到着したところで、またしても突然、ネペンテスさんが鼻をひくつかせる。

ネペンテス「この香りは……」

○○「あ、待ってください!」

いい香りに誘われるように、ネペンテスさんは方向転換をしてしまう。

(大変な一日になる気がする……)

穏やかな昼下がりの日が差し込む城の中を、彼を追って駆けた……

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