第1話 芳醇な香り……?

幻惑の国・ロトリア 宙の月…-。

長閑な午後に、人々の賑やかな笑い声が響く。

(収穫祭か……楽しみだな)

花の精の国・ヴァラスティンのネペンテス王子から収穫祭に誘われ、私はこの国を訪れていた。

(待ち合わせはこの辺りのはずだよね?)

賑わう街中でネペンテスさんから届いた招待状を確認していると…-。

??「ああ、何とも美味しそうな香りが、こちらから……」

○○「……!」

背後から突然囁かれ、びくりと身体が震える。

慌てて振り返ると……

○○「ネペンテスさん」

ネペンテス「懐かしく、かぐわしい匂いに吸い寄せられてしまいました」

ウツボカズラの精であるネペンテスさんは、少し変わった趣向を持っている……

最高の美食を求めていて、とにかく何でも口にし、その味を確かめてみるという性分らしい。

美食を求め城を抜け出し、食あたりで行き倒れていたこともあった。

ネペンテス「あなた様は相変わらず、熟す前の芳醇な香りに包まれていらっしゃる……」

再会して早々、ネペンテスさんは私の腰を強い力で抱き寄せたと思うと、私の首筋に、ねっとりと舌を這わせた。

○○「っ……ね、ネペンテスさん……!」

ネペンテスさんから、甘く蕩けるような香りが鼻腔へ入り込み、身体からふわりと力が抜けていく。

ネペンテス「おや、そろそろ食べ頃に……」

○○「あ、あのっ」

鼻先を首筋にこすりつけられて、くすぐったくて身をよじった。

彼は微笑みながら身体を離してくれる。

ネペンテス「私は一足先に収穫祭のロトリアを楽しんでいました」

ネペンテス「ご一緒に、いかがですか?」

○○「……は、はい」

(相変わらず、変わった人だな)

一歩退き、軽く首を傾げて微笑む姿は、紳士的にも見えたけれど……

彼の瞳の中には、ただならぬものが潜んでいるように感じられた…-。

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