太陽5話 観桜会名物の甘味

五感で楽しむ花の膳のヒントを探して、再び街へ戻ってきた私達は…-。

やがて、とある一軒の高級そうな店の前にたどり着いた。

ネペンテス「実は朗読会があると聞いて、私も本を持ってきていたんです」

ネペンテスさんはそう言うと、懐から一冊の本を取り出して広げて見せた。

それはどうやら、ヴィルヘルムの名店が紹介されたグルメ本らしく……

ネペンテス「この本によるとこちらのお店では、珍しいスイーツが食せるのだそうです」

その甘味は花の葉で巻かれ、上には花の塩漬けが乗っているもので、花の香りや、もちもちの食感も楽しめるという。

ネペンテス「まさに五感を刺激する逸品にふさわしいと思いませんか?」

(あれ、でもこれって……)

その説明文に、私がある甘味の名前を思い浮かべていると……

ネペンテス「さあ、参りましょう! 今度は期待を上回るといいのですが」

私は興奮気味のネペンテスさんに手を引かれ、店内に足を踏み入れた…-。

……

中に入ると広い座敷に通され、二人並んで腰を下ろす。

そんな私達に、ここまで案内してくれた店員さんが恭しく頭を下げた。

店員「それでは、こちらでお茶会をお楽しみください。 まずはこちらで特別なお茶を味わっていただきます。 その後、花見席で改めてお茶とお茶菓子をお出ししますので」

ネペンテス「なんですって!?」

その言葉に、ネペンテスさんが力なく肩を落とす。

ネペンテス「渋いお茶が、一杯だけなんて……」

わかりやすくがっかりした様子がかわいらしくて、私はつい笑みをこぼしてしまうのだった…-。

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