太陽SS 和解

熱で、意識が朦朧とする…-。

??「失礼します」

微かにノックの音が聞こえ、薄く目を開けると……

執事「怪我自体は大きいものではありませんが……。 医師によると、恐らく精神的ショックが大きかったのだろうと」

そこには、熱心に執事の話を聞く〇〇の姿があった。

(〇〇……)

〇〇「いったい、何が起こったんですか?」

レジェ「……僕が説明するよ」

〇〇「レジェ!?」

僕は、ゆっくりとベッドから起き上がる。

執事「レジェ様!」

〇〇「……レジェ、無理をしないでください」

辛そうな顔をする彼女に、僕は口の端を上げて見せた。

レジェ「ありがとう、でも、大丈夫だから」

僕は〇〇をまっすぐに見つめながら、国議での出来事を話し始めた。

議長のロイを差し置いて僕がその場をまとめてしまったこと、そのせいで口論になったこと、そして、ロイに突き飛ばされたこと…-。

(僕が至らなかったばかりに、ロイを傷つけ……)

(そして、君にも心配をかけてしまった)

僕がすべてを話し終えた時、〇〇はとても苦しげな顔をしていた。

〇〇「レジェ、少し休んでください……」

レジェ「……ありがとう」

〇〇に促され、熱く重い体を、ゆっくりとベッドに横たえた。

彼女の細い手が、そっと僕の手を握る。

(僕は、君に心配をかけてばかりだ……)

力の入らない手で、精一杯彼女の手を握り返した。

……

目を開けると、暗闇が広がっていた。

首を横に向けると、大きな月が窓の外からこちらを覗き込んでいる。

(いつの間に、眠ってしまったんだろう)

たっぷりと汗をかいたせいか、目は冴え、重かった頭も軽くなっている。

その時……

レジェ「〇〇?」

手に重ねられた温もりに気づいた僕が、ふと視線をやると……

ベッドの縁に状態を預けるようにした〇〇が、小さな寝息を立てていた。

(ずっと、僕の傍にいてくれたのか……?)

思わず、〇〇の寝顔に見入ってしまった。

月明かりに白く浮かび上がる彼女の顔は、ひどく疲れているように見える。

(何時間もこうして……?)

(君には、大きな心労を与えてしまっているのかもしれない)

そっと、柔らかい彼女の髪を撫でる。

〇〇「ん……」

わずかに顔を歪めた〇〇は、まるで少女のように無防備だった。

(君はいつでも僕を気にかけ、優しい言葉をかけてくれる……)

レジェ「もう君に、辛い思いはさせたくない」

僕はそっと、美しい眠り姫に囁いていた。

繋いだ手の甲に、優しく口づけを落とす。

その時、ドアがノックされた。

ロイ「……兄様」

控えめなその声に、背筋が伸びる。

伝えたい言葉が頭の中で絡まったまま、、ゆっくりとドアへと向かった。

レジェ「ロイ……」

ロイ「……体は?」

レジェ「もう大丈夫だ。それより……」

国議で彼の信用を踏みにじってしまったことを、まずは謝らなければならないと思った。

けれど…-。

ロイ「すみませんでした」

レジェ「……え?」

予想外の言葉に、ロイを見つめる。

ロイは気まずそうに目を泳がせてから、まっすぐに僕を見据えた。

ロイ「〇〇様が、わざわざ部屋に来てくださいました」

レジェ「〇〇が?」

ロイ「そこで、聞きました。兄様が悩んでいたこと」

レジェ「……」

ロイ「完璧な兄様には、悩みなんてないと思ってた。 それなのに、僕は……」

ロイが深く頭を下げる。

僕は、すぐにそれを制止した。

レジェ「頭を上げて。僕こそ、謝らなければと思っていたんだ。 ロイに任せなければいけなかった。そこを出しゃばってしまって……本当に、すまないことをした」

ロイ「……」

ロイは微かに笑みを浮かべて、小さく首を振った。

レジェ「本当はもっと早く、こうして話してしていればよかったんだ」

僕は、ゆっくりとベッドを振り返る。

疲れて眠る彼女の小さな背中を見つめていると、胸に熱いものが込み上げてきた。

レジェ「彼女がいなかったら、僕は闇に飲まれていたかもしれない……」

ロイ「兄様……。 ……大切にしてくださいね」

レジェ「うん。もちろんだよ」

ロイの言葉に、微笑みながら頷く。

(彼女を傷つけようとする者が現れたら、僕が盾になる)

(彼女が闇に飲み込まれそうになったら、僕が光になる)

(何があっても、一生……)

心に宿った温もりを逃がしたくなくて僕はそっと胸に手をあてた…-。

おわり。

<<太陽最終話||月覚醒へ>>