太陽5話 香りに誘われて

紫雨「じゃあ、行こうか? 君は何が見たい?」

(どうしようかな)

次はどのパビリオンに行こうかと悩んでいると……

(あれ……いい香りがする)

ポップコーンのような香ばしい匂いに、私は思わず振り返った。

(あっちはフードコートかな?)

紫雨「そろそろ、お腹がすいてきたね。フードコートに行ってみようか」

その言葉に紫雨さんを見ると、彼はくすりと笑みをこぼす。

〇〇「……!」

(恥ずかしい……食べ物に反応したの、気づかれて…-)

紫雨「いろんな国の料理が食べられるんだって。実は気になってたんだ」

〇〇「私も……です」

恥ずかしさで熱くなった頬を誤魔化しながら、そっと頷く。

紫雨「じゃあ行こうか。お昼時だし、ちょっと混んでいるかもしれないけど」

〇〇「そうですね」

私達はおいしそうな匂いに誘われるように、フードコートへと向かった。

……

フードコートは思っていたとおり、とても賑わっていた。

パスタにポップコーン、氷菓の国が販売するアイスクリームもおいしそうに見える。

紫雨「いろんなお店があるね」

〇〇「どれもおいしそう……」

紫雨「君が食べられるなら、一通り食べてもいいよ」

〇〇「えっ! さすがにそれは……」

紫雨「ふふ……ごめんね、冗談だよ」

紫雨さんは楽しそうに笑う。

紫雨「けど……なんだか、こういうのっていいね」

テーブルに座り食事をとる人達は、誰もがとても楽しそうだった。

(紫雨さんの言ってること、わかるな)

〇〇「笑顔って、見ているだけで幸せになりますよね」

フードコートに満ち溢れた笑顔は、まるで頭上の太陽と月のように輝いていて……

ふと紫雨さんを見ると、彼の表情も同じように輝いていたのだった…-。

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