太陽8話 紫黒色の呪い

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桜花『これ以上あなたに触れられると、抑えきれなくなってしまう。 どうか、私にはもう近寄らないで……』

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桜花さんの拒絶を思い出し、私は扉の前で立ちすくんでいた。

この扉の向こうでは、今も病に苦しむ彼がいる。

(私には、何もできない……)

声をかけることもできず、その場を立ち去ろうとしたその時…-。

??「○○様」

声のする方へ振り向くと……

○○「国王様……!」

突然現れた国王様に、私は慌てて頭を下げる。

国王「○○様にお話したいことがあるのですが……少しお付き合いいただけますか」

(お話……?)

国王様の深刻そうな表情が、私の胸をざわめかせた……

私達は二人、桜の花びらが舞い散る景色を眺めながら歩いていた。

国王「桜花のあれは……ただの病ではないのです」

○○「え……」

国王様は、少しためらったのちに、重い口を開いた。

国王「呪いです……原因は、私にあります」

(呪い……?)

聞き慣れないその言葉に、思わず立ち止まってしまう。

国王「王位に就く前、私には恋人がいました」

それは、身分違いの恋だった。

当然、次期国王となる彼は、周囲から反対を受けて…-。

結局、恋人を捨て、現在の王妃との結婚を選んでしまった。

国王「恋人は……呪術に長けていました。彼女は怒りのままに、生まれた子どもに呪いをかけたのです」

(呪術……?)

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桜花『申し訳ありませんが、城へ向かう前に会わなければならない者がいます』

○○『会わなければならない人……?』

桜花『ええ、呪術師の柴珠(しじゅ)殿です』

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その言葉に、紫珠さんと、怯えたような桜花さんの表情を思い出す。

(もしかして……)

国王「呪いは強力でした。そして今、まさに桜花を苦しめている」

○○「……どういう呪いなのですか?」

ためらいながらも問うと、国王様は悲しそうな眼差しを私に向けた。

国王「恋をすると、命を失うという呪いです」

○○「恋をすると……死ぬ……?」

理解が追いつかずに、私はその言葉を繰り返す。

(桜花さんは、恋をしている。そして、もうすぐ、死んでしまう……?)

○○「それは…-」

そう言いかけた時だった。

女中「た、大変です! 桜花様が!」

桜花さんの部屋から、悲鳴が聞こえてきた。

(桜花さん……!?)

私と国王様は、声が聞こえた方へと駆け出した…-。

桜花「○○さん……!」

桜花さんが額に汗を浮かべながら、こちらにゆっくりと歩み寄る。

○○「桜花さん……!」

女中「いけません! 桜花様! お体が…―」

桜花「大丈夫……止めないでくれ」

やがて私のところまでたどり着いた彼は、力尽きたようにその場に膝をついた。

○○「……桜花さん」

震える肩に手を触れようとして、はっとして思いとどまる。

(触れてはいけない……)

けれど、その手を桜花さんが掴んだ。

○○「……!」

桜花「やはり、私には無理ですね……○○さん、お話があります」

執事「桜花様、なりません。お体を横に……」

桜花「大丈夫だ。彼女と二人きりにしてくれないか?」

執事さんを制すると、

桜花「聞いてくれるかな?あまり面白い話ではないけど……」

桜花さんにまっすぐ見つめられ、私は小さく頷いた…-。

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