太陽9話 孤独な王子様

その夜のこと…―。

オリオン「〇〇……?」

目を覚ましたオリオンが、慌てて辺りを見回している。

オリオン「本当に……いてくれたのか」

ベッドの側で、椅子に座り眠る〇〇の姿を見つけると、その顔に柔らかな笑みが浮かんだ。

オリオンは、そのまぶたにキスを落とそうとして……

ふと、その動きを止めた。

しばらく〇〇を見つめたあと……

オリオン「すまなかったな……」

つぶやくように言って、ゆっくりと立ち上がると、オリオンは部屋を出ていった。

(あれ……今、誰か……)

物音に目を開けると、寝ていたはずのオリオンさんの姿がない。

〇〇「大変……!」

私は慌てて廊下に飛び出した。

オリオン「〇〇のこと、頼む」

部屋を出て行くと、廊下の角でオリオンさんが医師と話している。

オリオン「あいつ、逃げたかったって言っていた。 それでも、傍にいてくれるような奴だ。 それなら……俺が傍にいると、あいつは心が休まらないだろうから」

(オリオンさん……)

オリオンさんの苦しそうな声が私の胸を締めつける。

唇から静かに昇って行く水泡が切なく空に浮かんでいた…―。

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