太陽SS 繋がる想い

いよいよ祭りの本番を迎えた日、俺は○○が見守る中、皆と共に渾身の演舞を披露していた…ー。

カノエ「はあっ!!」

演舞の最後に全員でぴたりと動きを止めると、辺りが静寂に包まれる。

しかし次の瞬間、一人分の拍手が鳴り響き……

(○○……)

舞台からでも、彼女の瞳が熱を帯びていることがなぜだかわかる。

彼女の拍手が、あっという間に客席全体へと広がっていった。

(大成功、だな)

俺達は心地良い達成感に包まれながら、温かい拍手を送ってくれる観客に何度も礼をする。

そうして、舞台袖へと移動する途中…ー。

(○○…… 今こうして皆が笑顔でいられるのは、全てお前のおかげだな)

(本当にありがとう)

感謝の念を込めながら○○に視線を向けると、お互いの視線が重なる。

(この想いを伝えなければ)

(だが……うまく言葉にできるだろうか)

自分の言葉が足らないばかりに、今回皆を混乱させてしまったことを思い返す。

(いや、決めたはずだ。演舞が終わったら伝えようと)

(お前に抱いている気持ちを、しっかりと言葉に変えて……)

皆と共に舞台袖へと移動した直後、逸る気持ちを抑えながら彼女の元へと向かった…ー。

……

客席にいた○○を連れて、演舞台から離れた場所へとやって来た後……

カノエ「どうだった?」

○○「本当に素敵でした。とてもかっこよかったです!」

足を止めて尋ねる俺に、彼女は頬を上気させながら興奮気味に答える。

カノエ「そうか」

(そんなに喜んでくれると…… 本当に嬉しいものだな)

俺は体に残る熱に突き動かされるように、彼女の華奢な体に手を伸ばしてそのまま抱きすくめる。

カノエ「悪い。熱が冷めなくて……。 こうしたくて仕方ない」

腕の中の○○を見下ろすと、驚いたような表情を浮かべているものの嫌がっている様子はなく……

俺はそのまま、彼女に想いを伝えようと口を開く。

カノエ「……ありがとう。 ○○がいなければ成功しなかった」

○○「わ、私はお礼を言われるようなことは…ー」

カノエ「初めて気づいた…… 応援してくれる奴がいるってのは、すごい力になるんだ」

謙遜する○○の言葉を遮るように、素直な想いを口にした。

そんな俺を、彼女はじっと見つめている。

カノエ「それに、皆ともう一度まとまるきっかけをくれたのもお前だった。 何て言っていいか、わからないが……」

(今、この場で口にすることが正しいのかどうかもわからないが……)

俺はさらに彼女を強く抱きしめ、胸の中の想いに相応しい言葉を必死に探す。

だが、どれだけ考えてもこれ以上の言葉は浮かばず…ー。

カノエ「好きだ」

○○「えっ」

自分の鼓動が信じられないぐらい大きく鳴り響く中、抱き続けていた彼女へと想いをはっきりと口にする。

カノエ「演舞が終わったら言おうと思っていた。 言葉にするのは上手くない方だが…… この気持ちは、ちゃんと伝えたい」

少しだけ体を離すと、○○は目を大きく見開いていた。

○○「……っ」

カノエ「もう一度言う…… 好きだ」

(お前に届くまで何度でも言う)

(俺はお前のことが他の誰よりも好きだ)

(どうかこれから先も…… 俺を支えて欲しい)

再びはっきりと想いを告げた後、俺は○○この肩に手を置いて唇を奪う。

(お前にこの想いを伝えるのに、言葉だけじゃ足らない)

そうして、夢中で彼女の唇を塞いでいると……

○○「カノエさん……」

息つぎの合間に名前を呼ばれ、そっと顔を離すと、彼女の瞳には俺と、その後ろで咲く大輪の花火が映っていた。

(……そうか、お前も……)

○○の熱を帯びた瞳が、彼女もまた俺と同じ想いを抱いていることを教えてくれる。

カノエ「返事を聞かせてくれるか? ……いや…… 聞かなくてもわかるが」

うっとりとした表情を浮かべる○○の唇を、もう一度塞ぐ。

そのまましばらくの間、ふかい口づけを交わしていると……

(○○?)

掴んでいる肩の力が抜けた瞬間、俺は薄く目を開ける。

すると、彼女のまつ毛は俺を受け入れるように伏せられていて……

(……ありがとう)

夜空にきらめく大輪の花の下で、俺達はただひたすらにお互いの熱を感じ合う。

そうして、辺りに鳴り響いていた花火の音が止んだ頃…ー。

カノエ「……」

○○「……」

唇を離した俺達は、見つめ合いながら笑みを浮かべる。

カノエ「いつの間にか年が明けていたようだな。 新年早々、お前が風邪を引いたらいけない。 いつまでもこうしていたいのは山々だが、そろそろ城に戻るか」

○○「はい……」

新年の清々しい空気に包まれる中、俺は○○の小さな手を取る。

そんな俺の手を、彼女はしっかりと握りかえしてくれたのだった…ー。

おわり。

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