太陽7話 クリスマスイブ

仕事を終えたハーツ君と街を歩きながら、たわいもない話をする。

相変わらず街には雪が降り続けていて、少しだけ指先が寒い……

ハーツ「アリス、寒くないか?ほら」

○○「え?」

ハーツ君が差し出した手を見て首を傾げる。

すると彼は困ったように笑って、私の手を握った。

○○「ハーツ君?」

ハーツ「こうやって繋いでいた方が、お前が寒くないだろ?」

○○「うん、ありがとう」

(優しいな……)

少し顔を赤くした彼の手を握り返す。

(この手を、離したくない……けど、ハーツ君は今日プレゼントを贈りたい相手がいるんだよね)

○○「ハーツ君……プレゼントの準備はできたの?今日はクリスマスだけど……」

おずおずと、そう問いかけると……

ハーツ「え!そうなのか!?あ、そうか……だからお前……」

ハーツ君が私の手を握りしめてさらに顔を赤くさせた。

(どうしたんだろう……)

その後も私達は目的もなく冬のメゾン・マッドネスの街を歩き回った。

いつしか街は暗くなり、街路樹には冬らしいイルミネーションが輝き始めた。

お洒落な街ということもあり、恋人同士と思わしき人々の数も多い。

○○「……」

ハーツ「……」

(なんだか意識してしまって恥ずかしいな……)

今日はただ彼の様子を見に来ただけのはずだった。

なのにハーツ君は一向に私の手を離さず……

○○「あの、ハーツ君って、今日がアルバイトの最終日だったんだよね? だったらプレゼント、渡しに行かなくていいの?」

ハーツ「は!?」

すると、彼はなぜか目を見開いて視線を彷徨わせ始める。

(あれ……この反応、もしかして忘れてたとか?それともクリスマス当日に渡すことを知らないのかな……私が説明しなかったから?)

急に不安になって、これまで彼にしたクリスマスの話を思い出す。

その時だった。

ハーツ「お前、何言ってるんだ?クリスマスデートだろ!?」

○○「え……?」

彼の言葉に驚いて、私は歩みを止めてしまう。

ハーツ「えっ……て、そのためにアリスは俺を迎えに来たんじゃないのか!?」

○○「わ、私はハーツ君の姿が見れたらなって……」

ハーツ「え……」

(じゃあ、ハーツ君の渡したい相手って……)

粉雪の降る街の中、手を繋いだまま時間が止まる。

○○「……冗談、じゃないよね?」

ハーツ「俺のマジで本気な気持ちを冗談にしないでくれ!」

彼がぱっと私の手を離したかと思うと、両肩を強く掴まれた。

ハーツ「誰のために初めて働いたりしたと思ってるんだよ、お前のためだ!」

○○「……っ!」

こちらを見る彼の瞳には切実な想いが込められているようで……

私の胸は弾けそうなばかりに高鳴っていたのだった…―。

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