太陽7話 凍った湖の上で

数日後…一。

街の噂話によると、グレイシア君はまだ城に姿を出さず、街中に留まっているらしい。

(大丈夫かな……)

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グレイシア
「俺はいつだって、フロストの弟、としてしか見られないから」
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(そんなこと……)

街を探しても、グレイシア君の姿は見つからなかった。

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グレイシア
「……嬉しい」
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彼の仕草や、照れた表情が思い起こされる。

(……心配だよ、グレイシア君)

気づくと私は街を出て、外へ彼を探しに出ていた…一。

……

(駄目だ、グレイシア君、全然見つからない。どこにいるんだろう?)

(あ……)

一つだけ、心当たりがあった。

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グレイシア
「いい景色だろ? 気に入ってるんだよ、ここ」

グレイシア
「嫌なことがあった時もさ、ここに来ると落ち着く」
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私は彼と一緒スケートをした、あの湖へと向かった…ー。

街から続く一本道をしばらく行くと、どこまでも続く雪原のなかに、ぽつりと湖の姿が現われる。

鏡のように凍りついた湖面の上には…ー。

(グレイシア君…… ! )

彼はあの日と同じように、靴底に氷のブレードをまとい、氷上を大きな動きで滑っていた。

その姿は、相変わらず綺麗で……

だけど、この前見た時よりもずっと静かに見える。

グレイシア
「……!」

そっと、彼のブレードが氷上で止まり、視線がぶつかった。

◯◯「あ、グレイシアく…ー」

視線があったのはほんの一瞬で、私が声をかけると、グレイシア君はそっぽを向いた。

横を向いた頬が淡く朱に染まるのを見て、私の胸も騒ぎ出す。

(グレイシア君……)

目的も忘れて、じっと彼と見つめてしまう。

グレイシア「……何しに来たんだよ」

◯◯「ここなら、会えるんじゃないかと思って」

グレイシア「!」

◯◯「あ……」

思わず出してしまった言葉が恥ずかしくて、口を手で押さえると…ー。

近づいてきた彼に、腕を掴まれた。

◯◯「……っ!」

グレイシア「……こっち、来いよ」

目を合わせることなく、グレイシア君はそっけなく言葉を放つ。

◯◯「は、はい」

湖面に足を踏み出そうとすると、私の足元に、あの時と同じように氷のブレードが出来上がる。

◯◯「ありがとう」

グレイシア「……」

グレイシア君は、微かに微笑むと、私の体をしっかりと支えてくれた。

そして私達は再び、広く白い湖に滑り出した…ー。

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