太陽9話 口づけと、覚悟

大臣と、見たことのない商人風の男の密談に、青ざめた。

(どうしよう……エドモントさんに知らせる?ううん、それとも……)

○○「っ……!?」

あまりに動揺していたせいで、背中をどこかにぶつけ、声を上げそうになった時……

??「静かに」

後ろから抱きしめるようにして、口元を塞がれた。

心臓が大きな音を立てる。

○○「んっ……」

エドモント「黙って」

(エドモントさん?)

平静さを失っていたせいか、一時、誰だか分からず暴れそうになってしまった。

(で、でも、どうしてエドモントさんがここに……)

見れば、エドモントさんは険しい表情で、大臣の密談に耳を澄ましている。

二人、密着したまま息をひそめ……それからしばらくして、大臣達は立ち去った。

エドモント「ごめんね、急に手荒な真似をしてしまって」

○○「いえ、助かりました」

エドモントさんは、完全に大臣達が立ち去ったのを確認すると、そっと私を解放してくれた。

エドモント「しかし……どうもおかしいと思って、大臣をつけてみれば。 何かあるとは思っていたけれど、こういうことだったのか……」

エドモントさんは、沈痛な面持ちで唇を白くなるほどにきつく噛み締めた。

エドモント「王族の……しかも、浅はかな私欲のために……あそこの人達を苦しめてはいけない。 そんなこと、あってはならない。 全て、俺達がもたらしたことだ。俺が、どうにかしないと」

強い光が、その瞳に宿る。

エドモントさんは、これまでに見たことがないほど、揺るぎない激しさを孕んだ表情を見せた。

エドモント「答えを出すのが、遅すぎたくらいだ」

○○「エドモントさん……私……もし、私に何かお手伝いできることがあるなら。 どうか、何でも言ってください。エドモントさんの力になれればうれしいです」

エドモント「ありがとう、○○。 君が味方でいてくれると思うだけで、俺はがんばれるよ」

○○「エドモントさん……」

エドモント「大丈夫だよ、○○。 やっと決心は固まった。俺はもう、悩んだりもしないから」

エドモントさんが、優しい手つきで私の髪に触れながら言ってくれる。

(エドモントさん……凛々しくて、優しくて……)

そんな彼に、心引かれずにはいられなかった。

彼のまなざしもまた、私をそんな目で見てくれているようで……

エドモント「ありがとう、俺の心の支えになってくれて……」

潔く美しい笑みがゆっくりと、近づいてくる。

それからふわりと優しく、触れるだけの口づけを頬に届けてくれた。

エドモント「もう大丈夫だ。 それに、王子としてもやるべきことを果たさないといけない」

優しさの上に宿った強さは、まさに王子に相応しく思えたのだった…-。

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