太陽8話 過去との決別

一年に一度の、天と地の国交復活祭の日…-。

私は地の国からの招待を受けて、国交復活祭に出席していた。

(すごい人……)

ディオン「おい、あんまりウロチョロするなよ」

ディオンさんが不機嫌そうに、眉をひそめる。

ディオン「ったく。俺は来るつもりなんてなかったのに、お前が行くなんて言うから……」

(……心配してついてきてくれたんだ)

キラキラと降り注ぐ陽の光の下、贈り物を交換する儀式が行われている。

(すてきな織物……)

きらびやかな品々に目を輝かせていると……

子ども「きゃあっ」

〇〇「あ…-」

突然、叫び声とともに3歳くらいの女の子がその織物の上に倒れ込んでしまった。

それはちょうど、地の国王の行く手を遮ってしまい、お祭りを凍りつかせた。

地の国王「……」

国王様の鋭い眼差しが、女の子を射抜く。

地の国王「その不敬なる子どもを即刻引っ捕らえよ」

国王の命令で、衛兵が女の子を捕まえようとする。

(いけない……っ)

私はとっさにその子を庇い、衛兵の前に立ちふさがった。

衛兵「無礼者!」

高々と掲げられた剣が、私に振り下ろされた時……

ディオン「無礼者はお前だ」

ディオンさんが、私の前にふわりと立ちふさがった。

ディオン「この方を誰だと思っている!」

(ディオンさん……)

地の国王「衛兵! 剣を納めよ! その方は…―」

ディオン「この女性は俺の想い人だ!」

(え……っ)

ディオン「〇〇姫……お怪我はございませんでしたか」

ディオンさんが、私の前にそっと跪く。

〇〇「え……?」

(そっか……ここは公式の場だから)

戸惑いながらも、私はなんとか自分がトロイメアの姫であるという事実を思い出した。

〇〇「……はい、ありがとうございます」

地の国王「〇〇姫、大変失礼を致しました」

〇〇「私は大丈夫です。それより、その子を……」

地の国王「その出来損ないのせがれの失礼もお詫びします」

(出来損ないって……)

地の国王「もう二度と、想い人などと失礼なことは申させませんので」

(どうして、そんなことを言うの……?)

地の国王「ああ、それから、その子どもは即刻不敬罪で処罰致しますのでご安心を」

それを聞いた私は、ディオンさんが話してくれた、悲しい過去を思い出す。

―――――

ディオン『だから、賢かった俺の乳兄弟……メイレーンの子・レインは、セフィルと俺の前に立ちふさがった。 そして……臣下が主の行動を阻んだとして、不敬罪で処刑された』

―――――

(レインさんも、きっとこうして処罰されて……!)

〇〇「待ってくださ…-」

ディオン「父上は何もお変わりにならない!」

聞いたこともない、ディオンさんの激しい声が飛ぶ。

(ディオンさん……)

ディオン「もう、十分ではないですか。 何のための国交復活祭なのですか?」

ディオンさんが、優しい眼差しを女の子に向ける。

ディオン「……親とはぐれ、迷い混乱したのでしょう。こんな小さな子どもに、何の罪があるのです? それに……私の想いは、何を言われても変わりません」

〇〇「……!」

ディオン「私はこれで失礼いたします」

泣いている子どもを軽々と抱き上げると、ディオンさんは私の手を引いて会場を後にした…-。

<<太陽7話||太陽9話>>