太陽SS 重なり合う鼓動

美しい夕日が沈みかける頃…-。

城の中庭で行われる演奏会に参加することになった僕は、司会者の言葉もそこそこに、ステージの中央へと進んだ。

ダルファー「では、さっそくだけど……」

僕が天に向かって歌を紡ぐと、客席にいる人達がうっとりした表情を浮かべている。

ふと視線をやると、〇〇ちゃんも僕の歌声に聴き入ってくれているみたいだった。

だけど……

(ん……? なんだ、アイツ)

馴れ馴れしく彼女の肩を掴む男の姿を見た瞬間、胸に焼けつくような痛みが走る。

(くそ……ここからじゃ、何を話してるのか全然聞こえない)

二人の姿を見るほどに、胸の痛みが苛立ちへと変わっていく。

その時だった。

(!! アイツ……!)

〇〇ちゃんに顔を寄せる男の姿を見た瞬間、じりじりと燻っていた痛みと苛立ちは怒りに変わり、一気に燃え上がる。

そして……

ダルファー「や~めた」

僕はぴたりと歌を止めた後、髪を手で後ろに払いながらステージを降り、〇〇ちゃんの元へと歩みを進めた。

〇〇「ダルファー……」

(……俺の〇〇に気安く触ってんじゃねぇよ)

(この男……焼き尽くしてやろうか)

〇〇ちゃんの困惑するようなつぶやきに構うことなく、僕は彼女の後ろにいる男を睨みつける。

男性「……あ」

僕の視線に圧倒されたのか、男がぴくりと大きく震えた。

その瞬間、僕は〇〇ちゃんの肩を掴む男の手をさっと振り払い……

ダルファー「行こう」

そう言って彼女の手を取った後、二人で会場を後にしたのだった…-。

……

ダルファー「気安く触りやがって、あのクソガキ」

〇〇「え……?」

自室へと戻ってきた僕が吐き捨てるようにそう言うと、〇〇ちゃんは驚いたような表情を浮かべる。

(怖がらせちゃったかな……)

ダルファー「なんでもないよ。全く……ステージから見てて、気が気じゃなかったんだからね」

〇〇「え、あの」

ダルファー「あの男のことだよ。危うく周囲を焼き尽くすところだった」

〇〇「???」

(……この様子じゃ、わかってなさそう。そういうところも可愛いけど、困るなぁ)

ダルファー「だってキミは僕のものなのに、他の男に触れさせるんだもん歌うどころじゃなかったよ」

(全く。こんなことなら、演奏会なんて参加するんじゃなかった)

〇〇ちゃんのためとはいえ、やる気を出したことを激しく後悔する。

すると彼女は僕の言葉が理解できなかったのか、不思議そうに首を傾げ……

〇〇「僕のもの?」

ダルファー「そうだよ」

僕がきっぱりと言い切ると、〇〇ちゃんは頬を染めながら慌てたように口を開く。

〇〇「で、でも、ダルファーには、たくさんの女の子がいるんじゃ……」

ダルファー「ん? 他の女の子は、もういいんだ。だってキミが現れたんだからね」

(もうキミ以外はいらないよ。それに……)

その時、僕は恥ずかしそうに押し黙る〇〇ちゃんに気付く。

そして……

ダルファー「今度キミだけのために歌ってあげるよ。僕はもう、キミのものだからね。 キミを選ぶために、これまでがあったって気がするよ、〇〇ちゃん」

(もうキミ以外はいらないよ)

(だってキミは僕のもので、僕はキミのものだから)

(お互い、別の人なんていらないでしょ?)

僕は〇〇ちゃんの顎を指で持ち上げた後、柔らかく微笑む。

すると、彼女は信じられないといった様子で目を見開いて……

〇〇「本当に……?」

(ん~。僕、信用ないなぁ)

(だけど、それなら……)

ダルファー「信じさせてあげるよ。一晩じゅうかけてもね」

初めてできた大事なものを壊さないように、僕は〇〇ちゃんをそっと抱きしめる。

すると次の瞬間、高鳴る僕の鼓動に、同じくらい早くなった彼女の鼓動が重なって……

ダルファー「キミに振られないように、頑張るよ」

重なり合った鼓動を答えと受け取った僕は、いつまでもいつまでも、大好きな〇〇ちゃんの体を包み込んでいたのだった…-。

おわり。

<<太陽最終話||月覚醒へ>>