太陽SS 僕のサンタ

部屋の真ん中にある暖炉の火が、心なしか小さくなっている…-。

ウェルガー「寒くないか?」

ふと、袖から出た〇〇の白い手が、冷たそうに見えて声をかける。

〇〇「うん、大丈夫だよ」

そう言うけれど、〇〇は身を縮めてソファに座っていた。

ウェルガー「待ってろ! 今、暖かくしてやるからな」

置いてあった薪を両手いっぱいに抱えると、くすりと笑う声が聞こえる。

〇〇「ウェルガーくん、ありがとう」

(こんなことぐらいで礼なんかいいって)

本心からそう思うけれど、お礼を言われた嬉しさで頬は自然と緩んでしまう。

やがて暖炉にくべた薪が、火の粉をまとってぱちぱちと音を立て始めた。

ウェルガー「……」

(やっぱ、まだちょっと寒そうだな)

部屋が暖まるまでは、まだもう少し時間がかかりそうで……

(よし。それなら……!)

ある考えが浮かんだ僕は、〇〇の隣に座る。

〇〇「ウェルガーくん……?」

いつもより少し近い距離に、彼女は驚いているみたいだった。

ウェルガー「体……くっつければ、少しは寒くねえかなって。 ……嫌か?」

〇〇「ううん、そんなことないよ。 ありがとう。すごく温かい」

ウェルガー「へへっ……そっか!」

嬉しくて、思わず彼女の手を取る。

そして早く温まるようにと願いを込めながら、僕は少し冷たいその手を強く握った。

(クリスマスって、僕には縁のない話だと思ってた)

(僕はいい子じゃないし……だけど)

自分で飾りつけた部屋や、〇〇に贈ったプレゼントに目をやる。

(大切な人と過ごす時間か……)

(〇〇のためにって思って、いろいろ準備するのも、すげえ楽しかった)

(僕でも……楽しめるもんなんだな)

暖炉の火によって少しずつ暖まっていく部屋……

それと同じように、僕の心も彼女の優しさによって、じわじわと温かくなっていく。

ウェルガー「あー……今、すげえ幸せ」

胸が幸福感でいっぱいになり、気持ちを噛みしめるように、〇〇の肩に頭を預ける。

〇〇「私もだよ」

ウェルガー「本当に?」

(お前も僕と同じぐらい、幸せな気持ちになってくれてるのか?)

嘘じゃないとわかっていたものの、聞かずにはいられなかった。

〇〇「うん。ウェルガーくんとこんなに楽しいクリスマスを過ごせて、私も幸せだよ」

ウェルガー「へへ、そっか」

(お前もそう思ってくれるのか……)

〇〇の返事に、胸の奥がくすぐったくなる。

僕は嬉しさから、繋いだ手に少し力を込めた。

ウェルガー「僕もお前も幸せで、最高の日だな」

言葉に出すと、さらに嬉しさが心に満ちてくる。

ウェルガー「……ありがとう。僕に、こんな時間をプレゼントしてくれて」

〇〇「私の方こそ、ありがとう。 本当に……とっても幸せな時間だったよ」

ウェルガー「ん……」

動物達が大好きな相手に対してそうするように、僕は彼女の肩へと頬を擦り寄せた。

ウェルガー「来年もまた、一緒にクリスマスやろうな」

(大好きなお前と……もう一度、この時間を過ごしたい)

(その時は今以上に、幸せな時間にするよ)

〇〇「うん……」

繋いでいた手を離し、〇〇を、ぎゅっと抱きしめる。

ウェルガー「へへ。 サンタってさ。実はじーさんじゃなくて、かわいいお姫様のことだったんじゃねえか? だって、僕にプレゼントをくれたのは……かわいい〇〇だったからな!」

そう言うなり僕は、〇〇の唇にキスをした。

〇〇「……!」

ウェルガー「僕……やっぱり、お前のことが好きだ」

(かわいくて、優しくて、僕にたくさんの幸せをくれる……)

(そんなお前のことが、世界で一番大好きだ)

かわいいサンタの赤くなった頬に、指先でそっと触れる……

熱を持った彼女の瞳から、僕はいつまでも視線を外すことができなかった…-。

おわり。

<<太陽最終話||月覚醒へ>>