太陽最終話 新しい関係に

部屋に飾られた小さなクリスマスツリーが、ちかちかと光を転倒させている…-。

私達は二人並んでソファにもたれながら、穏やかな時間を過ごしていた。

アディエル「あー、美味かった」

〇〇「本当においしかったです。ありがとうございました、アディエルくん」

アディエル「オレから誘ったしな、これくらいは当然だよ」

アディエルくんは満足そうな笑みを浮かべた後、ふと窓際に視線を移した。

アディエル「おっ……」

立ち上がったかと思うと、そのまま窓辺に向かい、夢中になって景色を眺め始める。

アディエル「〇〇、見てみろよ!」

〇〇「どうしたんですか?」

嬉しそうに手招きする彼に近づき、隣に並んで窓の外を見てみると…―。

〇〇「わあ、雪……」

アディエル「どうりで寒いと思った」

〇〇「そうですね……」

音もなく振る雪が風に吹かれて舞う様は……

月や星の光も相まって、とても幻像的な雰囲気を醸し出していた。

(綺麗だな……)

言葉も忘れ、その光景に目を奪われていると……

(……!)

アディエルくんの腕が、私の肩に回された。

彼の手のひらから温かな熱が伝わって……ドキドキと胸が音を立てる。

〇〇「……っ」

思わず肩を震わせると、腕の力がほんの少しだけ強くなって…-。

アディエル「いいか? このまま…-」

〇〇「……はい」

小さく頷いて、彼に体を預ける。

私達はそのまましばらく、二人寄り添って窓の外の雪を眺めていた。

(温かい……)

彼の胸に顔を寄せると、トクトクと少し速い鼓動が感じられる。

(アディエルくん……今、どんな顔してるんだろう)

静まり返る部屋の中、暖炉の火がぱちぱちと爆ぜる音が聞こえてくる。

時が経つことも忘れてしまいそうになっていると…-。

アディエル「……あのさ」

かすれた声が頭上から響いて顔を上げると、大きな深緑の瞳が熱っぽい色を湛えていた。

(アディエルくん……?)

返事もできないまま、彼の情熱的な瞳と視線を絡ませ合う。

肩から彼の手が離れたかと思うと、今度はその手で頬を包みこまれる。

そのまま顔が近づいて……唇が薄く、触れ合った。

アディエル「……」

重ねられた唇はどこまでも柔らかくて、触れ合うだけで体の力が抜けてしまいそうになる。

やがて、名残惜しそうに彼の唇が離れていって…-。

アディエル「オレ……お前が好きだ」

私の髪を優しく撫でながら、アディエルくんが落ち着いた声でそう告げた。

アディエル「助けてくれたことへの恩とか、一緒にいて楽しいって気持ちだけじゃねえ。 こうしてるだけで、すげえ心臓がドキドキする……そういう好きって気持ちだ」

吐息がかかるほど間近で囁かれ、胸が甘く騒ぎ出す。

彼の綺麗な深緑色の瞳には、頬を染めた私の姿が映し出されていた。

アディエル「……なあ。そんなふうに思ってるの、オレだけ?」

アディエルくんの眉が、困ったように下げられる。

(私は……)

彼の笑った顔も、悲しい顔も、こうして少し困った顔も……

今まで見てきたアディエルくんのどの表情も、愛おしいと思えた。

〇〇「私も……同じです。 友達思いで一生懸命なアディエルくんのことを、好きだなって思ってたけど……。 今、こんなふうに二人で過ごして……どういう意味の好きなのかがわかりました」

胸に広がる特別な感情が、アディエルくんに伝わるように……

私は今の気持ちを素直に言葉に乗せた。

アディエル「〇〇……。 ……ありがとな。 オレ……お前のこと、もっともっと知りたい」

彼の手に力がこもり、さらに顔を引き寄せられる。

唇がまた触れ合ってしまいそうなほど近くに迫って……息すらできないほど鼓動が速くなった。

アディエル「お前が大切にしてるものとか、そういうの全部教えてくれねえか? お前がそうしてくれたように……オレもお前が大切にしてるものごと、お前を大切にしたい」

そう言い終えた後、アディエルくんはもう一度私の唇にキスを落とした。

今度はさっきより深く、けれどやっぱりとても優しいキスで……

(アディエルくんのことが……大好き)

アディエル「お前と出会えて……よかった」

愛おしむように、彼は何度も私の髪を撫でる。

―――――

アディエル『クリスマスって、特別な日なんだろ? それ、本当だなって思ってさ』

―――――

ふと、あの時のアディエルくんの言葉が頭によぎった。

(特別な日……本当にその通りだ)

私達は新しい二人の関係を確かめるかのように、優しいキスを交わし合ったのだった…-。

おわり。

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