太陽7話 クリスマスパーティ!

すっかり夜になり、暗く静まり返った廊下を従者さんに連れられて歩みを進める。

〇〇「……アディエルくん?」

軽く扉を叩いて名前を呼んでみたけれど、昼間と同じく彼からの反応はない。

(もしかしてまた、飾りつけに夢中になってたり……?)

小気味いい鼻歌を思い出すと、知らずに緊張がほぐれていく。

うかがうように従者さんを見ると、私を促すように優しく笑っていた。

(……よし)

私は、扉の取っ手に手をかけて…-。

〇〇「アディエルくん? 入りますね」

未だ反応のないドアの向こうを思いながら、ゆっくりと中に足を踏み入れた。

すると…-。

アディエル「メリークリスマス!!」

〇〇「!」

大きな音に驚いて立ち止まると、色とりどりのリボンが私目掛けていっせいに発射される。

ドアの前で待ち構えていたらしいアディエルくんの手には、大きなクラッカーが握られていた。

アディエル「へへっ……驚いたか?」

〇〇「すごく、びっくりしました……」

髪や体にリボンや紙吹雪をつけたまま、私はアディエルくんを呆然と見つめる。

すると、アディエルくんは少し気恥ずかしそうな笑みを浮かべた。

アディエル「この日のために用意させてたんだ」

その言葉に部屋を見れば、彼に再会した時よりもさらに飾りつけが増えている。

まるで綺麗なおもちゃ箱のような光景に、心がわくわくと浮き立った。

アディエル「……もしかして、ちょっと引いてるか?」

私の髪についた紙吹雪を取りながら、アディエルくんが恐る恐るといった様子で聞いてきた。

〇〇「いえ。そんなはずないですよ。 本当にびっくりしちゃって。あんまり素敵だから」

そう言うと、彼はほっとしたように息を吐いて……それから、ソファの方へと歩き出した。

アディエル「ほら、こっち座れよ」

手招きに従って一緒にソファに腰かけると、目の前のテーブルには大きなケーキを中心に、綺麗な陶器のお皿にのせられたご馳走が、美しく並べられていた。

〇〇「すごい! こんなにたくさん……」

アディエル「だろ? オレが手伝ったのもあるんだぜ」

〇〇「えっ、どれですか?」

アディエル「それはだな……」

彼はナイフを手に取り、流れるような手つきでホールケーキを切り分けた。

そして、一口分をフォークに乗せて、私の口の前まで持ってきてくれる。

アディエル「ほら」

(これって……)

恥ずかしさを感じながらちらりとアディエルくんを見ると、彼もまた同じ気持ちなのか、ほんのりと頬を染めていた。

(恥ずかしい……けど)

彼の気持ちが嬉しくて、私は小さく口を開く。

ケーキを口に含むと、爽やかな酸味を持つ苺が、クリームと一緒に口の中でとろけ合って…-。

〇〇「おいしい!」

アディエル「だろ? このケーキ、オレが作ったんだぜ?」

〇〇「そうなんですか? すごい……!」

心からの賛辞を贈ると、彼はいたずらっぽく口に端を上げた。

アディエル「つっても、材料を混ぜただけなんだけどな」

〇〇「それでもアディエルくんが自分で作ってくれたなんて……嬉しいです」

アディエル「他にもいろいろ手伝ったのがあるから、たくさん食べてくれよな」

アディエルくんはそう言って、お皿に料理を手際よく盛りつけてくれる。

(こんなクリスマスが過ごせるなんて……)

手作りの飾りに、手作りの料理……

彼の思いがこもったクリスマスに、胸が温かな気持ちでいっぱいになった…-。

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