太陽7話 大きな腕

扉が大きな音を立て開け放たれたと共に、兵士を引き連れたアヴィが、祭壇の内部へと闊歩する。

アヴィ「その婚儀、取り止めてもらう!」

参列した人々「……!?」

神殿の内部は、突然の事態に騒然とし始めた。

人々の視線が私とオルガさんと、そしてアヴィに集中する。

オルガ「貴殿……神聖なる儀式の最中にどういうつもりか!」

アヴィ「神聖? それはお前の心に誓って言えるのか? そこの神官と共謀し、神聖な儀式を欲望の手で穢したのはお前の方だろう!」

オルガ「……っ!」

アフロスの神官「ひ……っ!」

(共謀……? どういうこと?)

オルガさんと共に名を上げられた神官が扉の奥を見て青ざめる。

そこに新たに現れたのは、威厳あるこの国の王の姿だった。

アフロス王「アルストリアの王子、そなたの助力に感謝する」

アヴィ「いえ。俺は自分の責務を果たしたまでです」

オルガ「な、なな……アヴィ、貴様……っ!」

アヴィの鋭い視線にオルガさんの顔が醜く引き歪んでゆく。

その間にも、アフロス王は兵士達に指示を飛ばす。

アフロス王「即刻、その神官を捕らえよ! 神の神託を授かる我が国で、このようなことは決してあってはならぬ!」

兵士達は靴音を響かせ、私の目の前にいた神官を取り囲んだ。

しかし、オルガさんは……

オルガ「アヴィ……! 邪魔をさせるものか……!!」

〇〇「……っ、アヴィっ!!」

言うが早いか、オルガさんは私を背後より捕え、儀式用に帯刀していた剣を引き抜いた。

アヴィ「オルガ、〇〇を離せ!!」

アヴィも素早く剣を引き抜き、オルガさんに相対する。

にらみ合いは一瞬だった。

オルガ「くっ、トロイメアの姫は貴様には渡さんっ!」

オルガさんは大きく剣を振り上げると、アヴィへ振り落とす。

しかしそこに青白い閃光が放たれる。

それは目にも留まらぬ早さのアヴィの剣の切っ先だった。

たちまちオルガさんの剣は弾かれ、金属音が大理石の床に響く。

アヴィ「〇〇っ!!」

〇〇「アヴィ!」

一瞬の隙を突き、私はオルガさんの手より逃れた。

アヴィの大きな腕が私の体を強く抱きしめる……

アヴィ「こいつを傷つけるのは、俺が許さねえ!」

アヴィの透き通った声が、神殿の高い天井にこだました…-。

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