太陽7話 残された時間

ヴァイリーさんの呪いを解いてみせる…-。

そう誓った翌日、私は執事さんに頼んで、ヴェリティアの資料室に入る許可をもらった。

(獣化の呪いについて書かれた本は……)

たくさんの本が収められた書架を丁寧に見ながら、以前読んだ本を思い出していた。

『真実の愛』により呪いは解かれる……そう書かれていたけれど、具体的な方法はわからないままだった。

〇〇「どうしたらいいのかな……」

関係がありそうな資料をぱらぱらとめくっていると、突然誰かが、慌てたように部屋に飛び込んできた。

執事「姫様……! ヴァイリー様の容態が……!」

〇〇「……え?」

……

〇〇「ヴァイリーさん……!」

慌てて彼の部屋にきた私を見て、彼が大きく目を見開く。

ヴァイリー「〇〇……!? こっちに来るな! この嫌な感じは…-」

苦しげに顔を歪める彼に、執事さんが心配そうに声をかける。

執事「……獣化が、起きると?」

執事さんはベッドに近寄り、そっと掛布をめくる。

執事「ヴァイリー様、まだ獣化の気配はございません」

ヴァイリー「本当か……?」

執事「ええ」

執事さんの言葉に、ヴァイリーさんは深い息を吐いた。

ヴァイリー「最近、全くそんな気配はなかったのに……どうして」

ばさりと掛布をよけて、ヴァイリーさんがベッドの上に座り直す。

その表情は見ているだけで胸が痛くなるほど、悲しげだった。

ヴァイリー「正直……呪いが解けたかもしれないって、楽観してたんだ。オレは油断してたんだな……。 せめて……この仕事だけは、やり遂げたいのに」

〇〇「ヴァイリーさん……」

言葉を失う私に、ヴァイリーさんはそれでも笑顔を浮かべてみせた。

ヴァイリー「心配かけて、わりぃ。大丈夫……これだけは絶対、間に合わせるからさ」

私は気の利いた言葉一つ欠けることができずに、ただ彼の隣に座って……

(私には、何もできないのかな)

不安に苛まれる彼を、ぎゅっと抱きしめた。

ヴァイリー「お、おい……!」

〇〇「……っ」

彼の胸に顔を埋め、絞り出すように言葉を紡ぐ。

〇〇「私、ヴァイリーさんが好きです。 こんなに大切に想っているのに……どうして」

やるせない思いが溢れ、目の奥が熱くなってくる。

すると…-。

ヴァイリー「……〇〇」

名前を呼ばれたかと思うと、彼の腕に、優しく抱きすくめられた…-。

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