太陽7話 仲良くなりたい

陽が高く昇る頃、ジークさんが街から帰ってきた。

ジーク「お待たせいたしました、プリンセス」

優雅に微笑むと私の手を取り、食事が用意されている部屋へと案内してくれる。

(ジークさんが一緒にいてくれることは嬉しいけど……)

私は、フレイヤさんのことがどうしても気がかりだった。

〇〇「あの……フレイヤさんは大丈夫ですか?」

ジーク「問題ありません」

〇〇「でも……」

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フレイヤ『私はあなたを認めない。だって、お兄様は私の理想の王子様なんですもの。 『乙女への誓い』は……フレイヤがお兄様からもらうんだから!』

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強い言葉の裏に寂しさが隠れていたような気がして、どうしても心配になってしまう。

ジーク「妹のことを気にかけていただけるのは、兄としてありがたいですが……。 あなたがフレイヤの話ばかりするのは、少し寂しいですね」

ジークさんが、柔らかく静かな瞳で私を見つめる。

〇〇「あの……」

次の瞬間、ジークさんに強く手を引かれ、私は彼の腕の中に閉じ込められていた。

ジーク「あなたの瞳を……心を独り占めしたいというのは、私にはすぎた願いでしょうか」

〇〇「ジークさん……?」

ジーク「……先ほどから、あなたはフレイヤのことばかりですね」

いつもは見せない拗ねた口ぶりがかわいらしく、思わず笑みがこぼれた。

腕の中から、ジークさんを見上げる。

〇〇「そんなことありません。 この数日で、この国のこと、宝石のこと、フレイヤさんのこと……。 ジークさんの大切なものをたくさん知ることができて、とても嬉しいです」

ジーク「プリンセス……」

ジークさんが愛おしそうに私を見つめる瞳に、胸がとくんと高鳴る。

〇〇「でも、だからこそ……ジークさんの大切な妹さんだからこそ、心配で……」

ジーク「そんなに、フレイヤのことが気になりますか?」

ジークさんがくすりと笑った。

〇〇「……だって、ジークさんのことが大好きなのは私も同じですから。 フレイヤさんと仲良くなれたらいいなって……」

ジーク「……だ、そうですよ。フレイヤ」

ジークさんが、少し先にある柱の方へと視線を向ける。

すると、柱の陰からフレイヤさんが顔を覗かせた。

(もしかして、ずっとそこに……!?)

フレイヤさんは近づいてくると、恥ずかしそうに上目遣いで私を見た。

フレイヤ「……羨ましかったの。 あなたが、お兄様に大切にされていることが……」

(フレイヤさん……)

〇〇「……私もです」

フレイヤ「えっ?」

〇〇「実は、フレイヤさんが妹さんだって知らなくて……最初は嫉妬しちゃったんです」

フレイヤ「そうなの?」

フレイヤさんが口元に手をあてて、ふっと笑った。

その表情はとてもかわいらしく、澄んだ紫の瞳はやはり、ジークさんによく似ている。

フレイヤ「もっと、あなたとお話ししてみたいわ」

〇〇「はい。是非」

フレイヤ「お兄様が選んだ方ですもの。きっと仲良くなれる気がするの、ね、お兄様……いいでしょう?」

フレイヤさんが視線を移すと、ジークさんが小さく苦笑する。

ジーク「プリンセスがお望みとあれば、私に口を出す権利はありませんが……」

ジークさんは、フレイヤさんに向けて少し悪戯な瞳で微笑む。

ジーク「独り占めは禁物ですよ? そうでなければ、次は私が嫉妬をする番になってしまいますから」

フレイヤ「お兄様ったら……」

珍しく冗談を口にするジークさんを新鮮な気持ちで見つめていると、視線がぶつかった。

(次は私が嫉妬をする番になってしまう、って……)

彼の言葉を思い出し、私はわずかに熱くなる頬を自覚しながら、そっとうつむくのだった…―。

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