太陽SS 誓い

紫の輝きを放ついくつもの宝石が、柔らかなベルベットの上に並べられている…-。

その中から、私は時間をかけてプリンセスへの贈り物にふさわしいものを選んだ。

(これならば……)

紫色に輝く宝石は、どこか『乙女への誓い』を彷彿とさせた。

ジーク「これをいただきます」

店員「かしこまりました」

(離れている間は、どうか私の代わりにプリンセスをお守りください……)

願いを託すように、私はまばゆく光る宝石をそっと撫でた…-。

……

プリンセスの滞在もあとわずかとなった日の夕暮れ…-。

私は宝石と想いを手に、プリンセスに声をかけた。

ジーク「ここにいらしたんですね、プリンセス」

〇〇「ジークさん」

澄んだ瞳に見つめられた瞬間、息が止まりそうなほどに胸が跳ねる。

(この想いを、受け取っていただけるだろうか?)

込み上げる不安を感じながらも、私は拳を握りしめた。

(私は、騎士だ……)

(心から忠誠を誓える相手に身を尽くす……その覚悟があるはずだ)

奮い立たせるように、自分自身にそう言い聞かせる。

ジーク「プリンセス……あなたに改めてお伝えしたいことがあるのです」

〇〇「伝えたいこと……ですか?」

首を傾げたプリンセスをまっすぐに見つめながら、私は口を開く。

ジーク「宝飾展でお話しした宝石のことを、覚えていますか?」

〇〇「『乙女への誓い』ですか?」

ジーク「ええ」

彼女が覚えていてくれたことが嬉しくて、笑みが漏れる。

ジーク「あの時は言いそびれてしまいましたが……。 改めて、あなたにお伝えさせてください」

プリンセスを見つめ、私はゆっくりと想いを言葉に乗せた。

ジーク「私はいずれ、あの宝石……『乙女への誓い』をあなたに捧げたい。 私が生涯お守りすると決めた、あなたに……」

夕陽のせいか、プリンセスの頬が赤く染まっているように見える。

〇〇「……嬉しいです。 私は……ジークさん以外の人との未来なんて、考えてもいませんでした」

(今、なんて……?)

〇〇「会えない時間も、気がつくとジークさんのことを考えてしまって……」

(プリンセス……あなたは、そのような素敵な言葉を私にくださるのですか?)

ただ忠誠を捧げ、騎士としてプリンセスを守る、そう決めていた。

見返りを求めるつもりはないのに、その言葉は私の胸を圧倒的な喜びで満たす。

溢れる愛しさのまま、私はプリンセスを抱きしめた。

〇〇「……!」

彼女の香りを感じながら、その柔らかな髪に口づける。

ジーク「私もです。 あなたに会っていない時も、気がつくとあなたのことばかり考えています。 あなたが私と同じ気持ちでいてくださったこと……夢のようです」

浮遊するような心地で、私は囁く。

ジーク「私だけのプリンセス……」

(そう呼ぶことを、許していただけるでしょうか?)

ジーク「……王として騎士として一人前になったその時は、受け取っていただけますか? 永遠の愛を誓う相手に捧げるあの宝石を……そして、私のこの想いを」

プリンセスが小さく頷いた…-。

〇〇「……はい。待っています」

私は腕を解き、彼女の目の前に紫色に輝く宝石を出した。

ジーク「『乙女への誓い』をお渡しできるその日まで……これを持っていていただけますか?」

〇〇「はい……大切にします」

彼女の髪に触れると、潤んだ瞳が私を見上げる。

ジーク「プリンセス?」

慌てて顔を覗き込めば、彼女が泣きそうな顔で微笑む。

〇〇「ごめんなさい、嬉しくて……」

(……嬉しいのは、私の方です)

(貴方を愛する喜びを、隣で守り続ける栄誉を……私に許してくださり、感謝します)

潤んだ目元をぬぐい、顔を近づける。

(必ず、近い将来……あなたに『乙女への誓い』を捧げます)

ジーク「……愛しています」

沈みゆく夕陽が、辺りを赤く染め上げる。

重ねた唇は驚くほど柔らかく、腕に収まる体は小さくて……

(一生大切に、あなたを守ることを誓います)

何度も誓ったプリンセスへの忠誠を、想いを……

私は改めて、胸に刻み込むのだった…-。

おわり。

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