第4話 優しいご褒美

シュニー君は私をかばい、男性の前に立ちはだかった。

横暴な客2「なんだ? このガキ!」

シュニー「こんな所で騒いで、どっちがガキ?」

横暴な客1「なっ……! 生意気なガキだな!」

シュニー「せっかくのフェスティバルで騒ぐなんて、品のない奴らだね。おまんじゅう一つでそんなに目くじら立ててさ」

横暴な客2「なんだと!?」

シュニー「食べたいんなら大人しく列の後ろに並んだら? もっとも今から並び直したら、最後尾だけどね」

男性達を挑発するように、シュニー君はにやりと笑う。

横暴な客1「このっ!」

シュニー「それとも、雪のおまんじゅうでも食べる?」

言うや否や、シュニー君の体に雪の結晶が舞い踊る。

横暴な客1「なっなんだ!?」

横暴な客2「おう、もういいだろ。行くぞ!」

慌てるように仲間を引き、その場から逃げていった。

シュニー「これぐらいで逃げ出すなんて……騒ぐやつほど弱いんだよ」

〇〇「大丈夫ですか?」

シュニー「あんな奴らに僕が負けるわけないでしょ……怪我はない?」

〇〇「え……?」

シュニー「怪我。さっき突き飛ばされたでしょ?」

〇〇「大丈夫です……」

シュニー「そう、よかった」

(心配してくれるんだ……)

〇〇「シュニー君。ありがとうございます」

シュニー「な、何? 突然……下僕を守るのは当然でしょ!」

〇〇「それでも、嬉しいです」

シュニー「そ……そんなに喜ぶことじゃないよ」

シュニー君の頬が赤く染まっている。

(照れてる…? こういう所は可愛いけど……可愛いだけじゃなくて……男の人なんだ。さっき、とっても力強かったな)

腕には、まだシュニー君の手のぬくもりが残っているように思えた。

〇〇「そういえば……!」

おまんじゅうのことを思い出して、地面を見下ろした。

そこにはさっきふみつぶされてしまった私のおまんじゅうがあった。

〇〇「食べられそうもないな……」

(せっかく買ったけど、仕方ないよね……)

その時、意気消沈する私の前におまんじゅうが差し出された。

〇〇「え……?」

シュニー「さっき頑張ったご褒美。あいつらに食って掛かったでしょ。さすが、僕が見込んだだけのことはあるね! あと、さっき……」

シュニー君は言いかけてやめると、首を横に振った。

シュニー「ううん……なんでもない!」

(どうしたんだろう?)

シュニー「食べていいよ!」

〇〇「でもシュニー君の分が……」

シュニー「僕は食べようと思えばいつでも食べられるし」

(さっきは、初めてって言ってたのに……)

シュニー「まだ温かいんだ。早く食べないともったいないぞ」

〇〇「ありがとうございます」

私がお礼を言うと、シュニー君は照れたように口元をほころばせた。

シュニー「うん……」

店主「あんた、立派じゃないか!」

シュニー「え?」

店主「これ、サービスだよ」

豪快に笑うと、店主はシュニー君の掌におまんじゅうを一つ乗せた。

シュニー「い……いいの?」

店主「ああ! 小さな勇者に」

シュニー「なっ……小さいっていうのは余計だ!」

顔を赤くしてそう言いつつも、シュニー君は掌のおまんじゅうを見つめる。

〇〇「よかったですね」

シュニー「そうだね」

私達はまんじゅうを頬張った。

黒糖の柔らかな甘さが、ゆっくりと口の中で溶けていった…―。

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