第2話 カノエの心意気

親善試合の会場にたどり着くと、そこは既に盛り上がりを見せていた。
廊下まで人々の威勢のいい声が飛び交っている。

〇〇「今回、こよみの国と四季の国の方々は、初めてクライヴァーをされるんですよね?」

カノエ「ああ、協会側から声をかけてもらってな。見聞を広げるためにも参加させてもらった。 歴史を重んじるこよみの国だが……新しい文化を取り入れることも必要だからな。 皆で話し合ったんだ」

強い眼差しには、王子としての気概が感じられる。

カノエ「協会側も俺達の文化を尊重し、衣装やフィールドの造形に取り入れてくれた。 ……ありがたいことだ」

〇〇「そうだったんですね。フィールドを見るのが楽しみです」

カノエ「俺もクライヴァーに触れてみたかったし、楽しみにしていた。それにお前が来ていると聞いて…―。 ……」

言いかけた口を閉じたカノエさんの頬が、少しだけ赤く染まった。

〇〇「カノエさん?」

カノエ「いや……気にするな」

〇〇「でも……今、何か言いかけてませんでしたか?」

カノエ「なんでもない」

歯切れの悪い言い方が気になってしまい思わず追及すると、彼は戸惑ったように視線を泳がせる。

そして一つ息を吐いた後、私に視線を戻して……

カノエ「……とにかく、俺も楽しみにしていたということだ」

話を打ち切るように、そう強く言い切った。

〇〇「……」

(誤魔化されたような気がするけど……)

それ以上の追及はやめ、私は話をクライヴァーに戻した。

〇〇「私も楽しみにしていました」

カノエ「そうなのか?」

〇〇「はい」

(カノエさんと一緒のチームだって聞いてたし……)

けれどそのことは、はっきりと告げられず…―。

〇〇「一人じゃないですし……」

カノエ「そうだな」

少しの間見つめ合う形になって、胸が騒いだ。

カノエ「じゃあ、早速フィールドへ下りて練習を始めるか。 準備不足で怪我でもしたら、目も当てられない」

〇〇「そうですね。頑張ります」

(カノエさんとなら、練習も楽しめそう)

カノエさんが先に立って歩き出す。

その広い背中を見つめながら、私はこれから始まる時間に胸を弾ませたのだった…―。

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