第5話 空中のダンス

翌日の夜・・・・ー。

誰もいないパーティーホールを、星々が照らしている。

(がんばらなきゃ)

私は一人、セフィルさんに習ったワルツを練習していた。

(痛い・・・・)

前日から寝る間を惜しんで練習をしていたため、私の足は靴ずれで赤く腫れている。

(でも、セフィルさんと皆さんの役に立ちたい)

すずらん型の蓄音機から、小さな音でワルツが流れている。

その音楽に合わせ、私はダンスホールに靴音を響かせた。

(綺麗な曲・・・・セフィルさんのお母様のために作曲された曲だったっけ)

そんな時、ダンスホールの重い扉が開かれる。

セフィル「メイドに聞いて来てみれば・・・・」

〇〇「セフィルさん・・・・っ」

私を見つめ、セフィルさんが驚いたような声を出す。

セフィル「こんなに遅くまで・・・・練習をされているのですか」

〇〇「はい。ダンスパーティーでちゃんと踊れるようにって思って」

近くまでやって来ると、セフィルさんが柔らかに笑っていることがわかる。

セフィル「・・・・有難うございます」

そっと私の腰を抱き、セフィルさんは私をリードして踊りはじめた。

〇〇「・・・・っ」

思わず足の痛みに顔をしかめると・・・・

セフィル「どうなさいましたか?」

セフィルさんは、すぐにその様子に気がつく。

セフィル「・・・・そのようにご無理をなさらないでください」

私の足に目をやり、セフィルさんが私を抱き上げようとする。

〇〇「やらせてください。私、役に立ちたいんです。 どうしても・・・・」

私を抱き上げようとしていたセフィルさんは、驚いたように動きを止めた。

セフィル「貴女は、本当にお優しいのですね」

そうしてセフィルさんがにっこりと目を細めると、私は思わず息を飲んだ。

(こんな無防備に笑うんだ・・・・)

あまりに柔らかなその微笑みに、私は自然に笑い返す。

セフィル「人のことばかり気遣って・・・・」

気がつくと私は空中に浮いていて、セフィルさんの腕に抱かれていた。

そうして私達は、静かにダンスのステップを踏み始める。

(足が、痛くない・・・・)

(セフィルさんだって、いつも、こうして気遣ってくれる)

静かにワルツが流れる部屋の中、星々がセフィルさんの微笑みを照らしている。

(本当の天使みたい)

その微笑みに、私の胸がトクンと音を立てた・・・・ー。

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