第3話 青ざめた横顔

ダンスレッスンの翌日・・・・ー。

(ちょっと靴擦れしただけなのに・・・・)

私の足を心配したセフィルさんは、この日ダンスレッスンをお休みにしてくれて、

かわりに私達はダンスパーティー用のドレスを仕立てに、城下へとやってきていた。

店主「こちらの生地など、お肌の色がよりお美しく見えるかと」

(わぁ・・・・どの布も綺麗)

店員さんが、次々と生地を当ててくれる。

けれども私は、いそがしく目を瞬かせるばかりだった。

セフィル「店主、〇〇様が目をまわしてしまうよ」

クスクスと笑みをこぼして、セフィルさんが私のすぐ後ろに立った。

セフィル「これと、これ、それから・・・・そちらのシルクも持ってきてくれ。 では、これを全て」

〇〇「えっ」

セフィル
「形は・・・・そうだな。 首が華奢だから、際立たせるように・・・・」

〇〇「・・・・っ」

首筋にセフィルさんの指が触れて、私は思わず声を漏らす。

セフィル
「・・・・失礼」

優雅にまつ毛を伏せて、セフィルさんは手を離した。

答えることができずにうつむくと、セフィルさんは微かに私から距離をとった。

セフィル「では、参りましょう」

セフィルさんが、注文を終えてお店を出ようとする。

○○「あの、お支払いします」

セフィル「プレゼントさせてください」

○○「そんな。それに私、まだパーティーに出ると決めた訳ではないのに・・・・」

セフィル「どれもとても良くお似合いでしたから」

何でもないことのように言って、セフィルさんはお店を出て行く。

(セフィルさんといると、なんだか物語の中のお姫様になったみたい)

ふわふわした気持ちで、彼に続いてお店の外に出ると・・・・ー。

街人1「セフィル王子!」

セフィルさんの周りに、街の人が次々と集まってくる。

人々に向き直ったセフィルさんは、威厳に満ちた表情をしていた。

セフィル「皆、変わりはないか?」

街人2「はい!もうすぐ国交復活祭ですね!」

街人3「我々も国を盛り上げるために、店などの準備を進めております!」

セフィル「そうか」

街人1「是非、街にもいらしてくださいね!とっておきの料理を用意してお待ちしてますから!」

(皆、セフィルさんの姿を見ただけで嬉しそうな顔してる)

(本当に人望があるんだな)

威厳にあふれた姿を見つめる。

その時・・・・ー。

(あれ・・・・?)

セフィルさんの横顔が、妙に青ざめていることに気がついた。

〇〇「どうしたんですか?」

小声でささやきかけると、セフィルさんは驚いたように私を見つめた。

セフィル「どうぞそのまま・・・・皆が不安がります」

私の耳元でささやきかけると、セフィルさんは毅然として街の皆さんに向き直る。

(でも・・・・)

街の人3「セフィル王子がいてくだされば、この国は安泰ですね!」

街の人の声に笑顔で答えるセフィルさんの顔色は、どんどん悪くなっていく。

(いけない)

私は、とっさにセフィルさんの手を握る。

〇〇「・・・・セフィル王子!私、少し疲れてしまったみたいです。 お城に、帰りませんか・・・・?」

ぎゅっと手を握ると、セフィルさんの力ない視線が私に向けられる。

セフィル
「〇〇様・・・・。 失礼致しました。 さあ、参りましょう」

優雅な様子で街の人々に挨拶をすると、セフィルさんは私をふわりと抱き上げた。

そうして空へはばたくと、セフィルさんの手がだんだんと冷たくなっていく。

〇〇「セフィルさん・・・・」

セフィル「申し訳ありません。 少々、力が・・・・」

城の兵士「セフィル王子!お帰りなさいませ!!」

セフィル「ああ。遅くなってすまなかった」

宮殿に戻った後、セフィルさんは具合の悪さを周りにさとられたくないかのように、

いつものように毅然として振る舞っていた。

けれど・・・・ー。

部屋に戻ると、セフィルさんはやはりぐったりとした様子で・・・・ー。

〇〇「大丈夫ですか?今、お水を・・・・」

お水を探しに走り去ろうとすると、セフィルさんが私の手を握る。

セフィル「ありがとうございます。 ですが、それより・・・・側にいてくださいませんか」

弱々しいセフィルさんの声が、私の心をきゅっと締めつけた・・・・ー。

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