第4話 ボクがあなたを守る

深く、深く、穴の底へと落ちていく…-。

〇〇「……!?」

背中を打ちつけた感覚に目を開くと、そこは広い空間のようだった。

〇〇「私達……」

遠くに転がったランプが、四方の岩壁をぼんやりと照らしている。

(どのくらい滑り落ちたんだろう……)

見上げても、そこには暗い闇しか見えない。

行く手にはたくさんの分かれ道があり、深く暗い闇をたたえていた。

ロルフ「ボクのせいで…ごめんなさい……」

〇〇「そんなこと……」

ロルフ「やっぱりボクには無理です……」

気持ちが折れてしまったのか、ロルフ君がうずくまり泣き始める。

(ロルフ君……)

その横に座り、私も膝をかかえた。

(ロルフ君を励まさないと……でも……)

気持ちを奮い立たせようとしても、暗い闇に心細さが増していく。

〇〇「どうしよう……」

(このまま閉じ込められたら……)

恐ろしさに、目頭が熱くなった。

ロルフ「〇〇ちゃん……」

ロルフ君が、驚いたように私を見つめている。

私は、彼に心配をかけたくなくて、慌てて涙を拭った。

〇〇「だっ、大丈夫だよ……」

けれど、ロルフ君は、私の瞳を心配そうに覗き込む。

やがて、彼はぐっと眉を上げた。

ロルフ「ごめんなさい…もう…だいじょうぶです……」

小さな手が、転がり落ちたランプを持ち直す。

〇〇「ロルフ君……」

ロルフ「ボクが…あなたを守ります……。 行きましょう」

袖で涙を拭うと、ロルフ君が私に手を差し出す。

涙に濡れた彼の手は、まだ震えていた。

(ロルフ君……)

彼の勇気を感じられて、胸に温かさが広がっていく。

〇〇「うん、行こう!」

ロルフ君の手を取り、立ち上がる。

その時…-。

〇〇「ロルフ君、壁に何か描いてある」

私は、右手の壁に歩み寄った。

ロルフ「え……?」

ランプで照らすと、細かな数字が壁いっぱいに描かれている。

ロルフ「これってもしかして……」

〇〇「……?」

ロルフ君の瞳に、ぱっと明かりが灯った。

ロルフ「きっとこっちです!」

力強く私の手を引くと、ロルフ君は分かれ道をなんの迷いもなく進んでいく。

〇〇「わかるの……?」

ロルフ「はい壁に描かれた数字が……教えてくれました……。 あれは……太陽の高さと位置をもとに数列を組み合わせてあって……。 その数字通りに進んだら……順番が合ってたから……」

(ロルフ君って…本当はすごい子なんじゃ……)

そうして進んだ先に現れたのは、大きな観音開きの扉だった。

巨大な錠がかかった扉を前に、ロルフ君が壁に描かれた数字を見つめる。

〇〇「もしかして、これが鍵を開けるヒント?」

ロルフ「そうみたいです……」

(いっぱい数字が描かれているけど…私にはさっぱりわからない……)

不安に思いロルフ君を見ると、彼は黒曜の瞳をきらりと輝かせた。

ロルフ「ボク、できるかもしれません」

そう言い、彼が鍵の仕掛けに手を伸ばす。

その時…-。

〇〇「何……!?」

地響きと共に、左右を囲む壁が私達の方へと迫りだした。

(これって…トラップ……?)

(このままじゃ私達……!)

ロルフ「〇〇ちゃん!」

揺れる瞳が私を振り返る。

〇〇「大丈夫だよ! ロルフ君ならきっと」

ロルフ「ボク……がんばる……!!」

(がんばって……ロルフ君……!)

鍵に向き合い、ロルフ君は一心不乱にその数列を解読していく。

壁があと数センチまで迫る。

ロルフ「もう少し…もう少しで……!!」

ロルフ君の額から汗が流れ落ちた。

(ロルフ君……!)

ガシャン…-。

ロルフ「解除…できました……!」

轟音をとどろかせていた壁が下がっていく。

(よ、よかった……)

そして…-。

〇〇「扉が、開いていく……」

ドアがゆっくりと開かれて、その隙間から青白い光が溢れ出す。

私達は、そのまぶしさに目を細めた…-。

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