第2話 試練は朝食と共に

翌朝になり……

私は、国王様達と朝食の席を共にしていた。

ロルフ「…………」

ふと隣を見ると、ロルフ君が眉を寄せている。

(ロルフ君……?)

フォークを片手に、ロルフ君はどんよりとした目で皿をにらみ続ける。

(何かあったのかな……)

心配で、声をかけようとすると…-。

(あれ……?)

皆の目を盗むように、ロルフ君がそっと、皿の端に野菜を寄せていく。

〇〇「ロルフ君、お野菜食べないの?」

ロルフ「……これ、嫌いです」

(あ……だからさっきから……)

国王「食べなさい、ロルフ」

重い国王様の声に、ロルフくんの瞳が、今にも泣きそうなほど潤んでいく。

ロルフ「だって…このお野菜……苦いです……」

彼の瞳が、助けを求めるように私に向けられた。

〇〇「がんばろうよ、ねっ?」

ロルフ「はい……」

〇〇「じゃあ、私が一つだけ食べるから、後はロルフ君ががんばろう?」

ロルフ「う……はい」

ロルフ君の皿から、一つだけ野菜を取る。

それにならって、ロルフ君も野菜をフォークに取った。

ロルフ「苦い……」

なんとか野菜を食べきると、ロルフ君がぎゅっと眉を寄せる。

〇〇「がんばったね、ロルフ君」

ロルフ「はい……。 でもお魚は残していいですか……? 目玉がボクの方をずっと見ていて……怖くて……」

目を潤ませて言われると、つい頷いてしまいそうになる。

けれど……

国王「いつまで甘ったれでいる気だロルフ! お前はこの国の王子なのだぞ」

ロルフ「っ……!」

国王様の厳しい声に、ロルフ君が肩を震わせた。

国王「決めたぞ。ロルフ、お前に試練を与える」

ロルフ「しれん……?」

国王「これからお前は、街外れにある洞窟から『王家の証』を取ってこなければならない」

ロルフ「どうして……? 洞窟なんて嫌…怖いです……」

ロルフ君の瞳が涙でにじんでいく。

王妃「ロルフにはロルフの良さがありますわ。 こんなに小さいのに、数学には長けているじゃないですか」

彼をかばうように、王妃様が割って入る。

国王「駄目だ。お前はそうやっているもロルフを甘やかして。 出発は午後だ」

有無を言わさず宣言すると、国王様はそのまま退室してしまった。

ロルフ「そんなところ…行きたく……ない……」

静かな食堂に、涙に濡れたロルフ君の声が響く。

(ロルフ君……)

王妃「一緒に行ってはいただけませんか?」

王妃様が、すがるように私を見つめる。

〇〇「王妃様……」

王妃「失礼を承知でお願いいたします。 ですが……城の者がついていくこともできず」

王妃様が、心底心配そうな様子でロルフ君を見つめている。

〇〇「……わかりました」

王妃「ありがとうございます!!」

私が応えると、王妃様は、私に抱きつかんばかりに喜ばれた。

〇〇「一緒にがんばろうね」

ロルフ君の顔を覗き込み、笑いかける。

ロルフ「……」

けれど彼の瞳は涙でにじんでいて、私を見つめることはなかった…-。

<<第1話||第3話>>