第1話 イチゴに魅せられて

幻惑の国・ロトリア、蒼の月…-。

藍色の空に星が瞬いている…-。

煌びやかなパーティホールに、楽隊の奏でる優雅な音色が響き、国王様が、高らかにパーティの開始を知らせた。

(素敵……)

この国の王子様のロルフ君を目覚めさせたお礼に、城に招かれた私は、盛大に用意してくださった歓迎パーティに、胸をときめかせる。

ロルフ「そこに……料理があります……」

〇〇「わあ、おいしそう」

ロルフ「ケーキも、ありますよ……」

ロルフ君が、いそいそと、大きなイチゴが乗ったケーキを私に差し出してくれた。

ロルフ「どうぞ……」

〇〇「ありがとう、ロルフ君」

真っ白なクリームを口に入れると、下の上でふんわりと溶けて消えていく。

〇〇「おいしいね!」

ロルフ「はい……」

隣で食べるロルフ君も、うっとりと顔をほころばせる。

そして……

ロルフ「イチゴ……」

赤く大きなイチゴをフォークに刺すと、彼の瞳が一際輝く。

〇〇「ロルフ君、イチゴが好きなの?」

大きく口を開けてイチゴを頬張りながら、ロルフ君がこくんと頷いた。

〇〇「じゃあ、私の分も食べる?」

ロルフ「いいんですか……?」

〇〇「もちろん」

ロルフ君の皿にイチゴを移そうとすると……

(え……?)

ロルフ君が口を開け、待っている。

(食べさせてって、言ってるのかな……?)

(もしかしたら……いつもこうやって食べさせて貰っているのかも……)

疑いのない彼の笑顔に、私は頬をふっと緩ませる。

(可愛い弟ができたみたい……)

〇〇「はい、ロルフ君」

彼の口に、私の分の苺を入れてあげる。

ロルフ「おいしい……です」

ロルフ君がイチゴを頬張る。

小さな両手を頬に当てると、彼の笑顔が、溶けそうに緩んでいった。

ロルフ「ケーキの数は52個…お客さんの数と合わせても、まだおかわりしてもだいじょうぶですね……」

きらきらした目で、ロルフ君がおかわりのケーキに手を伸ばす。

(いつの間に数えたんだろう……本当に苺が好きなんだな)

嬉しそうにケーキをおかわりする彼の横顔を見つめる。

輝く笑顔が、とても可愛らしかった…-。

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