第5話 心配しないで

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レジェ「時々、すごく自分勝手な気持ちがこみ上げて来るんだ。どうして僕がこんなにロイに歩み寄ろうとしてるのに、あいつはわかってくれないんだろう。理由もわからない、言おうともしない。何で僕だけがこんなに考えて苦しまないといけないんだって」

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氷のように冷ややかな彼の声色に、私はぞくりとした感覚を覚えたけれど……

レジェ「ごめんね。やっぱり君にはなぜか見せたくない部分を見せてしまう」

レジェの表情はすぐに、今まで通り優しく穏やかなものに戻った。

○○「……いえ」

レジェ「○○? どうしたの?」

○○「な、何でもないです」

レジェ「……」

レジェの指が、私の頬をなぞる。

レジェ「本当に嘘が下手な人だ。ロイとのこと、心配させてしまってごめんね」

レジェは、ひどく哀しげに笑った。

その時、傍にあった時計台からの鐘の音が鳴り響いた。

レジェ「もう正午か……そろそろ城へ戻らないと」

私の手を握るレジェの手に、わずかに力が込められた。

レジェ「国議が終わったら、一緒に夕食を取ろう。宮廷料理人に、腕を振るって作ってもらうからね」

○○「はい、とても楽しみです!」

レジェ「じゃあ、城に戻ろうか」

○○「はい」

レジェに優しく手を引かれ、城への道を進んでいく。

(あの感覚は、何だったんだろう……)

氷のように冷たい彼の微笑を思い出すと、胸がひどくざわついた…―。

……

部屋に戻ってきた私は、窓際の椅子に腰掛けて、時と共に移ろい行く中庭の景色を眺めていた。

(ロイさんとのこと……私に何かできることはないのかな)

やがて黄昏の光が姿を消して、次第に夜の闇が姿を現し始める。

(そろそろ国議が終わる頃かな)

その時、部屋のドアがノックされた。

(レジェ?)

ドアを開けると、執事が狼狽した様子で立っていた。

○○「どうされましたか?」

執事「レジェ様から、○○様と夕食をとると申し使っておりました」

○○「はい、レジェ王子に誘っていただきましたが…」

執事「ですが……レジェ様がお怪我を。今はお部屋で休んでおられます」

○○「怪我……!?」

突然の言葉に、頭の中が真っ白になる。

○○「レジェは……!?」

執事「こちらへ」

広がり始めた夜の闇に、不安が助長される。

(一体、なにが……)

胸を押さえながら、レジェの元へと先を急いだ…――。

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