第4話 ロイとの思い出

翌日…―。

レジェと一緒に、城の中庭にやってきた。

(昨日は気づかなかったけど……こんなに広くて綺麗だったんだ)

目も覚めるような、鮮やかな緑が広がっていて、思わず足を止めて見入ってしまう。

レジェ「おいで」

レジェの綺麗な手が、そっと私の手を包み込む。

○○「あ……」

その動作があまりに自然で、気づけば彼の手を受け入れていた。

○○「はい……レジェが歩きにくくなるんじゃ……って思って」

恥ずかしさに、自分でもよくわからないことを口に出してしまう。

レジェ「大丈夫だよ。さ、行こう」

レジェに手を引かれて、手入れの行き届いた中庭を進んでいく。

レジェ「幼い頃は、ロイとよく中庭で遊んでいたんだよ」

○○「広い中庭なので、とても楽しそうですね」

レジェ「そうなんだ。でも、年を重ねるごとにロイが僕を避けるようになってしまって……」

レジェの瞳が、悲しげに揺れる。

(辛そうな顔……ロイさんは、どうしてレジェを……?)

悶々としていると、自然と視線が地面に向いてしまう。

レジェ「ごめんね。また、心配をかけてしまったね」

顔を上げてレジェを見ると、申し訳なさそうに肩を落としている。

○○「そんなこと……ありません」

レジェ「君は、嘘がつけない人のようだ。ごめんね。気に病まないで」

○○「でも……」

レジェ「どうしてかな。君のそばにいると見せなくていい自分まで見せてしまう」

○○「見せなくていい自分?」

レジェは、困ったように眉を寄せた。

レジェ「ロイとのことは、周りになるべく気づかれないように振る舞っているんだ。心配をかけてしまうからね。でも、いつも僕の心に重くのしかかっている。どうしたら、あいつは僕のことを信頼してくれるんだろうって」

○○「……レジェ」

苦しげに紡がれる言葉に、繋いだ手に力を込めようとすると……

レジェ「でも」

○○「え……」

突然……驚くほど冷ややかなレジェの声色が聞こえて、手の力がすっと抜けていった。

レジェ「時々、すごく自分勝手な気持ちがこみ上げて来るんだ。どうして僕がこんなにロイに歩み寄ろうとしてるのに、あいつはわかってくれないんだろう。理由もわからない、言おうともしない。何で僕だけがこんなに考えて苦しまないといけないんだって」

そこまで言って、レジェは自嘲するかのように笑った。

(レジェ……?)

その笑みに、なぜだか背筋がぞくりとするけれど……

レジェ「ごめんね。やっぱり君にはなぜか見せたくない部分を見せてしまう」

そう言ったレジェの表情は、もう今まで通りの、優しく穏やかなものだった。

○○「……いえ」

(見間違い……?)

一瞬感じた氷のような冷たさに、私は戸惑いを覚えていた…―。

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