第2話 天使の環

翌日…-。

(もう……お昼過ぎちゃったよね)

部屋の時計を見上げて、時間を確認する。

(確か昨日、お昼までに迎えにきてくれると言っていた気がするけど……)

待ちきれなくなって、私は部屋を出てレイスさんを探すことにした。

(私、勘違いしていたかな?)

前を歩く男性に、彼のことを訪ねようと駆け寄る。

〇〇「あの……」

??「姫、いかがなさいました?」

〇〇「突然申し訳ありません。レイス王子を見かけませんでしたか?」

??「弟が約束を破りましたか?まったくアイツは」

(弟? じゃあ、お兄様なんだ!)

(そう言われてみると、目元が似ている気がする……)

レイスさんのお兄様は、すぐ傍の扉へと私を案内する。

レイスの兄「レイス!」

勢いよく扉を開けると……

レイスさんが、ベッドで大きな枕を抱え、気持ちよさそうに寝息を立てていた。

レイスの兄「レイス! 姫をお待たせするなど……まったくお前は!」

レイス「う…ん……」

うるさそうに、ぎゅっとまぶたが閉じられる。

やがてゆっくりとレイスさんの腕が伸び、おにいさんを抱き寄せた。

レイスの兄「……! 寝ぼけるのもたいがいにしろ!」

お兄様は、自分をベッドに引き入れようとするその腕を強引に引き離す。

レイスの兄「なんでお前はいつもそんななんだ! もっと王子としての自覚を持て!」

薄眼を開けて、レイスさんが気だるげに上半身を起こした。

レイス「いいじゃないか兄さん。俺がどんなでも、優秀な4人の兄が立派に王国を率いてくれるんだから」

レイスさんは、お兄様の怒りなど気にも止めない様子で大きなあくびをしている。

レイスの兄「何を言っている! この国を豊かにして、民が幸せに暮らせるよう努力するのは王家の人間の義務だ! まったくお前は!」

お兄様は怒りに真っ赤に顔を上気させ、部屋から出ていってしまう。

お辞儀をしてお兄様を見送ると、私はそっとレイスさんの方へと近寄っていった。

レイス「ああ、そうか……約束の時間だね? ごめんごめん」

彼は腕を伸ばし、私の頬にそっと手をあてる。

〇〇「……っ」

あまりに自然なその仕草に、私の頬が熱を持つ。

レイス「昨夜は、つい深酒してしまって。すぐに用意するから」

〇〇「いえ……」

レイスさんはにっこりと微笑み、ベッドから起き上がった。

日だまりの中、レイスさんはまっすぐに私の瞳を見つめた。

(どうしよう……)

どうしていいかわからずに、私は視線を逸らす。

レイス「……あ」

また、レイスさんが手を伸ばし、私の髪をひと筋すくった。

〇〇「あの……」

レイス「……天使の環。綺麗な髪だ」

優しく目を細め、彼は私の髪を陽に透かす。

(そんなこと、されると……)

トクンと、私の胸が小さな音を立てていた…-。

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