第1話 夕暮れとヴァイオリン

毒薬の国・テルソート、蒼の月…-。

雨上がりの夕陽は、木々の葉に残る雫をきらきらと照らして暮れていく…-。

(綺麗だなあ……)

レイスさんの国に招かれ、待ち合わせ場所にやってきた私は、茜色の空を仰いだ。

(ここで合ってるよね?)

雨上がりの街は、たくさんの人々で賑わっている。

通りの向こうではヴァイオリン弾きが美しい曲を奏で、その周りに人だかりができていた。

(綺麗な曲……)

(あれ?)

ヴァイオリン弾きに目を向けると、その人影に、どこか見覚えがあるような気がした。

〇〇「すみません」

人を掻き分け、前の方にやってくると……

〇〇「あっ!?」

思わず声を上げてしまう。

ヴァイオリンの音が止み、こちらに顔を向けたその人は満面の笑みを浮かべた。

レイス「〇〇!」

〇〇「レイスさん……!」

王子様である彼があまりに自然にそこにいることに、私は驚きを隠せない。

レイス「待っている間に弾いていたら、人が集まってきちゃって。 待っててね。皆があんまり楽しそうだから、もう一曲だけ」

屈託なく笑うと、彼は再びヴァイオリンに弓をあてた。

陽気な曲が流れ出し、人々が次々に踊り始める。

(わあ……)

人々の真ん中で楽しそうにヴァイオリンを奏でる彼を見つめる。

(なんだか、レイスさんのまわりだけきらきらしてるみたい)

夕陽が優しく音の粒を包み、街かどに笑い声と笑顔が溢れた…-。

第2話>>



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