第2話 総合プロデューサー

今回のファッションショーは、大衆文化の記録のために記録の国主催で開かれるもので、スペルヴィアさんが総合プロデューサーを任されているらしい。

〇〇「記録の国から依頼されたんですか?」

大きなショーを任されているスペルヴィアさんを尊敬の念で見つめると……

スペルヴィア「まあ、ワタシに話が来たのは当然と言えば当然。 ブラック系の前衛的なデザインが今季の流行だし、ワタシほどの適任者はいないでしょ?」

スペルヴィアさんは、得意げに口の端を上げる。

スペルヴィア「ほら、あれ……どう?」

彼の視線を追うと、ステージを歩くモデルさん達は、個性的ながらも洗練された服に身を包んでいた。

〇〇「はい。ファッションのことはよくわからないですけど、モデルさん達の服、本当に素敵だと思います」

スペルヴィア「アンタって、本当素直ね」

そう言って、スペルヴィアさんは小さく笑う。

〇〇「でも、こんな大きなファッションショーの総合プロデューサーなんて……大変そうですね」

スペルヴィア「そうね……服だけじゃなくて、舞台のセットを見たりモデルを決めたり……。 コンセプトから演出、小道具まで全部見てるの」

〇〇「全部……。 すごい……」

目を瞬かせて、スペルヴィアさんを見つめる。

スペルヴィア「アンタにそう言われるのは、悪い気はしないわね。 ただ……」

スペルヴィアさんは、わざとらしく苦笑いして見せる。

スペルヴィア「本来なら任せるところ任せて、最終確認だけにしたいんだけど。 使えない奴が多くて、やんなっちゃう」

声を抑えようとしないスペルヴィアさんに、背筋がひやりとする。

〇〇「スペルヴィアさん、皆さんに聞こえますよ……!」

スペルヴィア「いいの、本人達にも言ってるもの。あんまり使えないようなら外すわよって」

〇〇「え……」

そっと周囲に目を向けると…-。

スタッフさん達は忙しそうに動きながらも、苦笑を浮かべていた。

スタッフ1「よく言われてますから。スペルヴィア様は厳しいので」

スタッフ2「むしろ、厳しくしてもらえるうちが花なんです」

スペルヴィア「そう。できると思ってるからしごくの。 そうじゃなきゃ、自分でやった方が早いんだから、全部自分でやっちゃう」

スタッフ1「そうですよ。スペルヴィア様の仕事の早さには本当に脱帽で…-」

スペルヴィア「ほら、口より手を動かす!」

スタッフ1「はいっ」

スペルヴィアさんの一声に、止まりかけていたスタッフさん達の動きが戻る。

それでも誰一人として嫌な顔をしている人はいなくて…-。

(『できると思ってるから』……)

(厳しくても、こういう言葉をかけてくれるから、スタッフさん達も頑張れるんだろうな)

スペルヴィア「ワタシが作るからには、最高のファッションショーにするから。絶対に……ね」

スペルヴィアさんは、晴れやかな顔でスタッフさん達を目で追っている。

それにつられるように、私の口元にも笑みが浮かんでいた…-。

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