太陽8話 突然の告白

翌日、国交復活祭の昼下がり・・・・ー。

式典は無事に終わった。

これを機会に、地の国との本格的な国交復活祭の話し合いの場がもたれることになったそうだ。

(良かった・・・・)

ひと息吐いて、私達は城下のお祭りを視察することになった。

市場を歩いていると、セフィルさんの周りには、たくさんの人が集まってくる。

子ども「セフィルさま、お花をどうぞ」

小さな女の子が、セフィルさんにお花を差し出す。

セフィル「綺麗だね。ありがとう」

しゃがんでお花を受け取ると、セフィルさんは優しく微笑み返す。

でもどこかその笑顔は堅く、私はどうしてもそのことが気にかかってしまう。

街人1「よかったら、一曲いかがですか」

向かいの広場から、一人の男性が声をかけてくれる。

広場では音楽隊が演奏をしていて、人々が楽しそうにダンスを踊っていた。

そっとセフィルさんを見上げると、その顔は微笑みを貼り付けたままに、また青ざめていくところだった。

ーーーーー

セフィル「・・・・愛されているのは、私の仮面です」

ーーーーー

(そんなこと、ない)

セフィル「せっかくだが・・・・」

断ろうとしたセフィルさんの腕に、私はとっさに手を添える。

セフィル「〇〇様・・・・?」

〇〇「是非ご一緒に踊りたいです。 せっかくのお誘いですし。私も、覚えたばかりのダンスを踊りたいと思って」

「・・・・では、一曲だけ」

青い顔のまま、セフィルさんが微笑む。

街の皆が喜ぶ中、舞踏会のために練習したあのワルツが流れはじめた。

〇〇「なんだか、すごく楽しいアレンジですね」

軽快にアレンジされたワルツが、どんどん速度を増していく。

(速い・・・・! 足がもつれてしまいそう)

曲が終わると、皆笑いながら地面に倒れ込んだ。

〇〇「楽しいですね」

セフィルさんは、横で地面に片膝をつき、嬉しそうに笑っている。

セフィル「・・・・本当に」

そう言ったセフィルさんの顔はもう青くはなくて、

私はほっと胸を撫で下ろした。

街人1「セフィル王子!すごく楽しかったです!」

街人2「14年ぶりのお祭り、セフィル王子の尽力のおかげですね!」

街人3「私達、この国とセフィル王子が大好きです!」

セフィル「・・・・」

〇〇「・・・・街の皆さんが、セフィルさんの仮面を見てるなんてこと、ないと思います。 もしそうだったら・・・・皆、こんな風に笑いかけたりしません。 少なくとも、私は、そのままのセフィルさんが好きですよ」

セフィル「・・・・〇〇様」

私の言葉に、セフィルさんが微かに頬を赤らめる。

〇〇「あ、あの、これは、そういう訳では・・・・ー」

考えなしに口にしてしまった言葉を思い返して、私は瞳を瞬かせる。

セフィル「〇〇様」

私の瞳を覗き込み、セフィルさんがゆっくりと微笑んだ。

セフィル「お慕いしております。 曲が終わっても・・・・この気持ちは、消えてくれないようです」

街の人たちが見ている中、セフィルさんが私の前にひざまずく。

セフィル「どうか・・・・この想いを、お許しいただけませんか。 プリンセス〇〇」

その瞬間、市場の喧噪が遠ざかり・・・・

〇〇「はい・・・・」

私は気がつくと、そう答えていた。

街の人たちが見守る中、セフィルさんは私を抱きしめる。

街人1「なんてめでたい!俺達のセフィル王子の恋が実った!」

街の人たちがいっせいにお祝いを口にして、音楽隊が美しい音楽を奏ではじめる。

セフィル「ま、待て、皆・・・・」

何か言いかけたセフィルさんの手にシャンパングラスが渡されて、

セフィルさんは困ったように笑う。

(セフィルさん、笑ってる)

(よかった・・・・)

やわらかに市場を照らす太陽の下・・・・

私は、この上なく幸せな気持ちでセフィルさんの横顔を見つめていた・・・・ー。

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