第2話 ダンスレッスン

美しく晴れた翌日・・・・ー。

セフィル「そういえば・・・・」

アフタヌーンティーの最中、セフィルさんが思い出したように口を開いた。

セフィル「地の国との国交復活祭の前夜に、ダンスパーティーが開かれるのですが。 そこで一緒に踊っていただけないでしょうか」

〇〇「えっ、あの私、ダンスは・・・・」

突然の言葉に、私は戸惑いを隠せない。

セフィル「あまりご経験がない・・・・と?」

〇〇「はい・・・・お恥ずかしいのですが」

セフィル「よろしければ私がお手伝いします」

そんな私に優しく微笑みかけて、セフィルさんはティーカップを置く。

セフィル「ダンスは得意なのです。いい講師になれると思いますよ。 ダンスパーティーで踊られるかは、レッスンの成果を見てから決められては?」

(上手に踊れるか、わからないけど)

〇〇「よろしくお願いします」

セフィル「こちらこそ。〇〇様」

セフィルさんは、嬉しそうに微笑んだ。

そうして私は、ダンスのレッスンを受けることになった。

夕方・・・・ー。

(ダンスって、こんなに細いヒールで踊るんだ)

早速ダンスを教えてもらうことになった私は、セフィルさんが用意してくれた美しいハイヒールを履いている。

セフィル「背筋を伸ばして」

斜めに差し込む夕陽が、ダンスホールの床を暖かな色に染める。

セフィル「失礼。 これが基本姿勢です」

腰にセフィルさんの手が回されて、私の胸が微かに跳ねた。

セフィル「では、ワルツを」

弦楽隊が演奏をはじめて、セフィルさんの腕に支えられながら、

私はぎこちなくステップを踏みはじめた。

セフィル「お上手ですよ」

優雅な微笑みに思わず笑みを返すと・・・・ー。

〇〇「あ・・・・っ」

慣れないヒールが脱げかけて、私は足を滑らせてしまう。

セフィル「お怪我はございませんか?」

セフィルさんの腕に抱き寄せられて、私は耳元で彼の声を聞いた。

(ち、近い・・・・)

戸惑いに瞳を瞬かせていると、

セフィルさんが私をふわりと抱き上げる。

セフィル「靴擦れができてしまっていますね・・・・」

椅子に私を座らせて、セフィルさんが私の足元に跪く。

セフィル「気付かず申し訳ありません・・・・〇〇様」

セフィルさんはヒールを脱がせると、擦り傷ができた私の足にそっと口づけを落とした。

〇〇「・・・・!」

(なんだか・・・・)

(セフィルさんって、物語の中から出てきた王子様みたい)

高貴なお姫様のように接してくれるセフィルさんに、頬が染まっていくことを感じる。

〇〇「で・・・・でも、ダンス初心者の私が踊るなんて、いいのでしょうか。 大切な式典なのに・・・・」

セフィル「・・・・」

そう言うと、セフィルさんが表情を少し固くしたような気がした。

〇〇「・・・・セフィルさん?」

セフィル「あ、いえ・・・・失礼いたしました。 今度の国交復活祭は、14年ぶりに執り行われる大事な式典・・・・。 だからこそ、○○様に踊っていただきたいのです。 夢王族であるあなたに踊っていただければ、平和の象徴となり、皆も一層喜ぶことでしょう」

〇〇「そんな大役・・・・」

セフィル「大丈夫です。ダンスパーティーはいわば前夜祭のようなもの。 私がしっかりとリードいたしますので、○○様はただダンスを楽しんでいただければ」

〇〇「・・・・」

セフィル「無理にとは申しません。あなたのお心で決めてください」

(セフィルさん・・・・)

(どうしてだろう)

私に向けられるセフィルさんの微笑みは、とても優雅で優しいのに・・・・

それがどこか、張り付いたもののように感じられた・・・・ー。

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