第1話 突然のキス

凪の月…―。

穏やかな波の音が夕焼けの中を流れるある日…―。

私は、オリオン王子に招かれ海底国を訪れることになっていた。

(どうやって海の底へ行くんだろう?)

待ち合わせ場所の洞窟の中には、底の見えないこわいほど透明な海が広がっている。

(綺麗だけど、なんだか少し怖い)

心細さを抱えて洞窟の中を覗き込むと、オリオンさんが待っていた。

オリオン「久しぶりだな」

〇〇「オリオンさん」

オリオン「迷わなかったか?」

〇〇「はい。迎えにきてくださってありがとうございます」

オリオン「お前、俺についてくるか?」

唐突に尋ねられて、私は首をかしげる。

(ついていくって?海底国に行く方法は知らないけど)

〇〇「……はい」

私の返事に満足げな笑みを返して、オリオンさんは私の腰元を強く引き寄せた。

(え?)

オリオンさんの長いまつ毛が、私の額に触れそうなほど近づいてくる。

〇〇「オリオンさ……っ…ん……っ」

気がついた時には……

目を閉じる間もなく、キスをされていた。

〇〇「な、何するんですか!」

その言葉には構わず、オリオンさんは突然私を横抱きにして、洞窟の中の海へと飛び込んだ。

(息が……っ)

オリオンさんは、どんどんと深みへと泳いでいく。

(もう駄目……)

耐えきれずに息を吐くと……

〇〇「あれ?」

(息が、できる!?)

オリオン「俺の国ははるか海底にある。 海底で息が出来るよう、
力を与えてやったんだ。 ありがたく思え」

(キ、キスで、息ができるようになったってこと?)

地上から降り注ぐ夕陽がオリオンさんの背後から降り注ぎ、その美しさに、私は思わず目を細める。

〇〇「なんて、きれい……」

思わずこぼれ出た言葉に、オリオンさんが満足そうに微笑んだ…―。

第2話>>