第1話 近距離で

記録の国・レコルド 凪の月…-。

重厚な石造りのホテルのロビーに、来賓客が居並ぶ。

プリンスアワードのアフターパーティが終わり、緊張から離れほっと息を吐いた時だった。

??「あれ? 〇〇?」

〇〇「……え?」

澄んだ音色に名前を呼ばれて顔を上げると……

〇〇「アルマリ? アルマリも来てたの?」

柔らかな金髪をふわりと揺らし、宝石のようにきらきらと瞳を輝かせるアルマリの姿があった。

アルマリ「うん。嬉しいな、君とこうして再会できて」

〇〇「……っ」

すぐに彼はぐっと私に近づいて、顔を至近距離から覗き込んできた。

(わっ……!)

アルマリ「あっ、ごめんね。 こんなに近づいちゃ……いけないんだった」

とくんと心臓を跳ねさせて目を大きくした私を見て、アルマリはふわりと笑って少しだけ距離を取る。

アルマリ「しばらく、トルマリ以外の人と会ってなかったから……ごめんね」

トルマリというのは、アルマリの双子のお兄さんのことで……

あまり人と接しないアルマリにとっては、トルマリさんとのこの距離感が普通の感覚だった。

アルマリ「……〇〇もびっくりした?」

〇〇「大丈夫。緊張してたからアルマリの顔を見てほっとして……」

アルマリ「……僕も、一緒だね」

〇〇「……っ」

嬉しそうに微笑んだアルマリが再び私に近づく。

その青く輝く瞳が私を映して、つい心臓が高鳴ってしまう。

(か、顔が……近い!)

アルマリ「あっ……ごめん、僕また君に近づき過ぎた……。 大丈夫?」

〇〇「うん」

慌てて頷けば、また朗らかな笑みが彼の唇に浮かぶ。

アルマリ「ねえ、〇〇」

ふわりと、アルマリがごく自然に私との距離を詰める。

(また……)

そう思うのに、不思議と何も言うことができない。

アルマリ「よかったら……僕と一緒に過ごさない?」

(アルマリと……?)

少し恥ずかしそうに言うアルマリに、私は小さく首を縦に振った…-。

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