第3話 神々の住処

陽の光を浴びてきらきらと光る白い砂浜を、二人で歩く…―。

私達を先導するかのように前をぴょこぴょこと走っていたボニータが、大きな岩場の前で立ち止まった。

ダグラス「ボニータ、どうした?」

ボニータ「キキッ!」

岩の影を覗き込むと、奥へと続く洞窟の入り口があった。

○○「ここは……?」

ダグラス「へえ?早速冒険らしくなってきたね」

○○「ふふ。そうですね」

わくわくした様子のダグラスさんの横顔を見て、思わず笑みをこぼす。

するとそれに気づいた彼が、苦笑し……

ダグラス「行ってみよう」

ダグラスさんに手を引かれ、私は洞窟へと歩みを進めた…―。

薄暗い洞窟の中はひんやりと涼しく、少し肌寒いほどだった。

ダグラス「寒いかい?」

私が震えたのに気づいたのか、ダグラスさんが顔を覗き込む。

(あんまり心配させるようなことは言わない方がいいよね……)

○○「いえ、大丈夫です」

ダグラス「そう?でも震えてるから、よければこれを使って」

ダグラスさんが薄手の羽織を肩にかけてくれる。

○○「用意してくれてたんですか?」

ダグラス「寒かったり雨が降ったり、島ではいろいろなことがあるからね」

冒険慣れしたダグラスさんらしい気遣いに、心が温かくなる。

○○「ありがとうございます」

ダグラス「どういたしまして」

そう笑って、ダグラスさんが私の腰に腕を回した。

ダグラス「これでも寒かったら言って」

さっきまで感じていた肌寒さは消え、代わりに彼と触れ合うところが、熱を持ったように温かい。

(ドキドキする……)

高鳴る鼓動を落ち着かせながら歩いた、その時……

ダグラス「……かわいいな。 でも、そんなに緊張しないで」

ダグラスさんが、ぎゅっと腰に回した腕に力を込める。

(……恥ずかしいな)

すべてを見透かしたような彼に、そんな気持ちを抱きながらしばらく進むと、奥の方に小さな光が見えてきた。

○○「出口でしょうか?」

ダグラス「そうだね。残念、この洞窟にはお宝は隠されてそうにないな」

笑顔で肩をすくめるダグラスさんに、私は首を傾げる。

○○「お宝?」

ダグラス「ああ。この島は神々の住処だなんて言われていてね。 特別なお宝が隠されてるって噂が広がって、ここにたどり着く海図を必死で探してる奴らもいるんだ」

(神々の住処……)

美しい空も海も、この神秘的な洞窟も……島を流れる空気は確かにどこか現実離れしていて、神様が住んでいる場所だという話には妙に真実味がある。

○○「どんな神様が住んでるんでしょう?」

ダグラス「言い伝えだし、諸説あるけど……。 たとえば珊瑚を守る女神、海の始祖と言われる神、海と大地を守る神……」

(海と大地を守る神……)

その言葉に、私はダグラスさんの横顔を見上げた。

ダグラスさんは海賊の国・アンキュラの王子として、陸と海の治安を守っている。

(その神様とダグラスさん、少し通じるところがあるかも)

ダグラス「……っと、危ない。そこ、水たまりになっているから気をつけて」

でこぼこした洞窟の中、ダグラスさんは常に私の足元に注意を払ってくれている。

初めて来た島の冒険でも危なげなく進んで行けるのは、彼の気遣いのおかげで……

○○「ダグラスさん、ありがとうございます」

頭を下げる私に、ダグラスさんが微笑む。

ダグラス「ありがとうって言われるほどのことなんて、何もしてないよ。俺がそうしたいからしてるだけ。 ああ、でも……そう言って俺を見上げる君の顔が、実はすごく好きみたいだ」

軽くウインクされ、私の頬も緩む。

出口が近づくにつれ、明るい光が私達を待っていた…―。

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