冷たい風が足元の落ち葉をさらっていく…-。
あれから必死でユリオ君のスマホを探し回ったけれど、見つけることができなかった。
ユーリ「影も形もねえ……どーすんだよ」
〇〇「誰かが持って行っちゃったのかな」
ユーリ「クソッ……珍しい写真撮って、じいちゃんに見せてやろうと思ったのに」
深いため息を吐くユリオ君の髪が、夕日に照らされて輝いている。
(突然この世界に飛ばされて、泥でできたファンに追いかけられて……)
(大事にしてたスマホまで失くしちゃうなんて)
憂いに満ちた横顔を見ていたら、胸が痛んでしまった。
〇〇「ユリオ君、疲れたでしょう? 先に宿に戻ってて」
ユーリ「あ?」
〇〇「私、もう少し探してみるから」
ユーリ「なんで?」
〇〇「なんでって……」
ユーリ「俺のスマホだし。でしゃばってんじゃねーぞストーカー」
〇〇「だから私はストーカーじゃ…-」
その時……
私とユリオ君の間から、灰色の泥の手(?)がぬっと伸びた。
〇〇「……っ!?」
ユーリ「うわっ! びっくりさせんじゃねーよ」
泥「……これ……」
泥の手(?)が開かれたそこに、求めていたユリオ君のスマホがあった…-。