月最終話 おまんじゅうを作ろう

お店の体験コーナーに到着すると、私達はさっそくおまんじゅう作りを始めた。

テーブルには生地と、何種類かのあんこが置かれている。

○○「すごいですね。いろんな種類のあんこがある。 白あんに粒あんに・・・・・・これは梅あんかな?」

シュニー「これはなんだ?」

シュニー君は、黄色いあんを興味深そうに見つめていた。

○○「味見してみましょうか」

二人でちょっとだけ味見をしてみる。

○○「栗あんみたいですね」

シュニー「・・・・・・うん、なかなかおもしろい」

シュニー君の表情が、さっきよりも柔らかい。

(よかった・・・・・・興味を持ってくれたみたい)

手にうち粉をつけて、生地にあんを包む。

けれど・・・-。

○○「あれ・・・・・・?」

思ったように上手く包めず、生地からあんこがはみ出してしまった。

(う・・・・・・難しい・・・・・・)

今度はあんこを少なくしてみたけれど、生地だけ余ってしまう。

(どうしよう・・・・・・)

シュニー「こんな感じかな?」

シュニー君が綺麗に包んだおまんじゅうをテーブルの上に置いた。

○○「シュニー君・・・・・・上手ですね!」

シュニー「そ・・・・・・そう?」

○○「はい。お店に並んでいてもおかしくないぐらい上手です!」

シュニー「! あ、当たりまえでしょ! ・・・・・・これくらい、僕には簡単だよ」

○○「そうですか?」

(私が不器用なだけかな・・・・・・)

○○「あ、でもこれならお兄さん達も喜ぶんじゃないですか?」

シュニー「え・・・・・・」

○○「だって、シュニー君が作った特別なおまんじゅうですから」

しばらく、シュニー君は私をきょとんと私を見つめていたけど、やがて・・・・・・

シュニー「お前って、面白いよね」

不遜な笑みを浮かべながら、私に顔を近づけた。

○○「え・・・・・・?」

シュニー「ちょっとしたことですっごく喜んでさ」

○○「そう・・・・・・ですか?」

シュニー「そうだよ。面白いよ、お前」

シュニー君は楽しそうにクスクスと笑い出す。

すぐ近くにある彼の無邪気な笑顔を見て、私の胸がまた音を立てた。

シュニー「そういえば、お前のおまんじゅうはどう? 上手くできた?」

○○「あ・・・・・・」

不格好なおまんじゅうを見られたくなくて、思わず手で隠した。

シュニー「・・・・・・なんで隠すの?」

○○「あの・・・・・・できてからのお楽しみというか・・・・・・」

シュニー君は私を見つめて、目を細めた。

(だめだ・・・・・・シュニー君に隠せる気がしない)

○○「っ・・・・・・!」

不意に腕をつかまれると、ぐいっと引き寄せられた。

シュニー君は引き寄せた私の手にペロッと舌を這わせた。

○○「っ・・・・・・!」

シュニー「手にあんこがついてる。 どうせ、うまく作れなかったんでしょ?」

彼は私を見つめて、ニヤリと微笑む。

顔が一気に熱くなった。

シュニー「僕に隠し事なんてするな。 お前は僕の前ではいつも素直でいろ」

○○「シュニー君・・・・・・」

シュニー「その方が可愛いぞ」

○○「え・・・・・・?」

シュニー「約束できるなら、召使いに昇格させてもいいよ」

○○「あの・・・・・・」

シュニー「・・・・・・返事は? 下僕から昇格したいんじゃないの?」

シュニー君は、再び私の手に唇をよせた。

掌に柔らかな唇が押し当てられる。

○○「えっと・・・・・・」

シュニー「素直な方が可愛いって言っているのにさ・・・・・・。 仕方ない。もうおまんじゅうを蒸す時間だ」

シュニー君は私の手を離すと、おまんじゅうを蒸し器に並べる。

シュニー「○○、召使いにして欲しかったら、お前から僕にキスすること」

○○「え・・・・・・?」

シュニー「僕を待たせてるんだから、それくらいできるでしょ?」

(キ、キスって言われても・・・・・・)

シュニー「ちょっとだけ、待ってあげる。そうだね、おまんじゅうが蒸し上がるまでかな」

シュニー君は微笑むと、蒸し器を火元に乗せた。

シュニー君を見つめながら、私は自分の胸の高鳴りに戸惑っていた。

(シュニー君に振り回されてる気がする・・・・・・)

(けど・・・・・・)

○○「あの、シュニー君」

(もっとシュニー君と仲良くなりたい・・・・・・)

シュニー「何?」

振り向いたシュニー君の頬に、私は顔を寄せる。

シュニー「あ・・・-」

彼の柔らかな頬に、そっとキスをした・・・-。

おわり。

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