月7話 分かり合えない

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執事「ロイ様が初めて議長をされた席で意見がまとまらず……それを見かねたレジェ様が、代わりにまとめようとされたそうです。すると、レジェ様とロイ様が口論となり……その勢いでロイ様がレジェ様を突き飛ばしてしまったと、聞きました」

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執事さんから怪我の理由を聞いていたその時、レジェのまぶたがかすかに開いた。

○○「レジェ!」

レジェ「……っ」

私と目が合った途端、レジェがベッドから起き上がろうと身じろぎをした。

○○「まだ、安静にしていないと……」

レジェの肩にそっと手を添えて、体を横たえる。

(熱い……熱が出てるんだ)

レジェ「君との夕食の約束が……失礼を」

○○「そんなこと、気にしないでください」

レジェ「……すまない」

レジェがベッドに再び背を預け、私はほっと胸を撫で下ろす。

レジェ「……だ」

○○「えっ?」

レジェ「やっぱり、ロイにはひどく嫌われているようだ。あいつと分かり合おうなんて、無駄なんだ……!」

その声に、背筋がぞくりとした。

困惑と怒りが織り交じったような、低くて重い声色…―。

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レジェ「どうして僕がこんなにロイに歩み寄ろうとしてるのに、あいつはわかってくれないんだろう。理由もわからない、言おうともしない。何で僕だけがこんなに考えて苦しまないといけないんだって」

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その声色に、私はあの時感じた冷ややかな感覚を思い出した。

○○「レジェ……落ち着いて。今はとにかく、休みましょう?」

レジェ「ああ……申し訳ない」

ぎゅっと、レジェの手が私の手を握る。

レジェ「傍に……いてくれ」

弱々しい声を聞いて、胸が締め付けられる。

○○「傍にいます」

レジェ「ありがとう……」

レジェのまぶたが徐々に閉じていき、規則的な寝息が聞こえ始めた。

(よかった……)

○○「今、ロイさんは?」

執事「体調が優れないようで、自室で休んでおられます」

○○「そうですか……」

執事「私は、ロイ様の様子を見て参ります……」

○○「はい、レジェには私がついていますので、安心してください」

執事「……申し訳ありません」

執事さんは深く頭を下げると、部屋を出て行った。

(このままだと……レジェとロイさんは……)

レジェ「……ない」

○○「レジェ?」

熱にうなされてか、レジェが何かうわごとをつぶやいている。

レジェ「わかり合えない……僕は……もう……っ!」

彼の心が暗い哀しみに支配されていくことを、私は止められなかった…―。

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