月9話 花散る決断

桜花「私の、傍にいてくれませんか……」

桜花さんの手を握ったまま、私は答えを出せずにいた。

その時…―。

??「桜花」

威厳のある声が、部屋の空気を震わせる。

振り返ると、襖が開いていて、国王様がたった一人でそこにたたずんでいた。

桜花「父上……」

弱々しい声で、桜花さんが呼びかけると、

国王様は絞り出すような声で続けた。

国王「桜花、すまない。私のせいで……」

それを聞くと、桜花さんは寂しげに微笑んだ。

桜花「謝ってほしい訳では、ないのですよ」

ただ、と囁いて、言い淀むように目を伏せる。

再び目を開いた時、桜花さんの瞳には悲しい決意が秘められていた。

桜花「父上の跡を継げないこと、この国を守れぬことを、お許しいただけますか」

国王「それはつまり……」

桜花「○○さんを好きという気持ちのまま生きることを、選びたいのです」

桜花さんが、そっと私を抱き寄せる。

桜花「お願いです、○○さん……私の傍にいていただけませんか」

再びの問いに、私ももう自分の気持ちを偽ることはできなかった。

○○「……」

視界がにじむのをこらえながら、静かに頷く。

桜花「……! ありがとう……」

国王様に深く一礼してから、私は桜花さんを見上げた。

○○「私……私も、桜花さんのことが…―」

心から嬉しそうに、桜花さんが笑いかけた時だった。

??「恋を、してしまったのですね……桜花殿」

突然、静かな怒りを湛えた声が、部屋に響いた…―。

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