月9話 夕焼けのネックレス

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オリオン「帰れ……俺の気が変わる前に」

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翌日…―。

オリオン「……元気で」

使者さんに送られて地上に帰ることになった私は、オリオンさんとの別れの時を迎えていた。

〇〇「オリオンさんも……」

結局、胸の中の感情に名前をつけることができず、私はあいまいな笑顔を浮かべる。

オリオン「言っただろ……そんな風に笑うなと」

そう言って笑みを浮かべたオリオンさんの瞳はすごく悲しそうで、私の胸がまた、ひどく痛む。

オリオン「……悪かったな、振り回して。 ……これ」

そう言ってオリオンさんが差し出したのは、あの貝のネックレスで……

押し寄せてくる感情に、私は思わず息を呑んだ。

オリオン「もう、行け……」

そうして静かに頭を下げると、私は送りの使者の方に抱かれてシャボン玉の外へと出た。

上へ、上へ……

だんだんと海底国が遠ざかっていく。

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オリオン「好きな相手に好きと言って、何が悪い。 結婚したい女に迫ることの、どこが悪い。 心から好きだと思える相手に出逢えるのは、奇跡だろう。 俺は、後悔などしたくない」

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胸が、どうしようもなく締めつけられる。

地上に近づくほどに、空の夕焼けが海中を染めていき、

私は夕陽色の貝殻のネックレスをぎゅっと握りしめた。

〇〇「……止まってください!」

気がついた時には、そう口にしていた…―。

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