月7話 遊泳する純白

ダグラスさんに手を引かれ、水の中をもぐっていく…―。

ダグラス「へえ……やっぱり海だな。よく知ってる仲間達がたくさんいる」

悠然と泳ぐ海ガメや、すぐ傍をひらひらと通り過ぎる色鮮やかな魚達……

心躍るその光景を二人で眺めていると、真っ白なイルカが現れた。

○○「かわいい……!」

思わずそう口にした次の瞬間、イルカがまとう淡い光に既視感を覚えて首を傾げる。

ダグラス「海と大地を守る神がいつも傍に置いていたのが、金のたてがみの馬と白いイルカだって言われてるんだ」

(もしかして、このイルカって……)

驚いてダグラスさんに視線を移すと、彼も同じことを思っていたようで……

ダグラス「馬の次はイルカか……どうしてかな。今日は本当に不思議なことばかり起こる」

近寄ってきたイルカが、ダグラスさんの頬を口の先で撫でた。

ダグラス「ははっ、人懐っこいイルカだ」

○○「本当ですね」

そっと撫でてみると、イルカは気持ちよさそうに鳴き声を上げる。

その時だった。

ダグラス「!○○、手を…―」

○○「えっ?」

彼の手がこちらへ伸ばされたと思った、次の瞬間…―。

(……っ!)

大きなクジラが近くを通り過ぎ、激しい水流に飲み込まれる。

ダグラス「○○!」

水圧で体が思うように動かず、私達はあっという間に引き離されてしまう。

(嘘……)

気づけばダグラスさんの姿はなく…―。

(どうしよう、探しに行った方が……?)

その時、突然の出来事に混乱する私の元へ、金色のたてがみを持つ馬が現れた。

何か言いたげに私を見つめると、馬は私の前にゆっくりと歩み寄り座り込む。

(乗れっていうこと、かな?)

ダグラスさんから聞いた伝説の話と私を見る馬の優しい瞳は、なぜか安心感を与えてくれる。

私が背中に跨ると、馬は海底をは走り出した…―。

……

淡い光をまとう馬に連れられてやって来たのは、珊瑚礁が美しい海底だった。

(ここは……)

海面から届く幾重もの光の筋が、色とりどりの魚達や珊瑚を照らし出している。

思わず、その光景に見とれていると……

(え!?)

視界の端に、遠ざかっていく馬の姿が映る。

置いていかれて途方に暮れたのも束の間、遠くから私を呼ぶ声が聞こえた気がして…―。

ダグラス「○○!」

声のする方を見ると、白いイルカに先導されるように泳ぐダグラスさんとボニータの姿があった。

○○「ダグラスさん!」

ダグラス「ごめん!大丈夫だった?」

○○「はい。大丈夫…―」

言葉の途中で引き寄せられ、力強い腕が私を抱きしめる。

(どうしてこんなに安心するんだろう……)

広い胸に頭を預け、私はそっと目を閉じた…―。

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