月最終話 大切な気持ち

ナビット「僕ですよ! ポケットランドのナビットです!」

どこか見覚えのある男の子は、私達の前でそう名乗ってみせた。

○○「本当にナビットくん? けど、どう見ても……」

メディ「これは、人間の男の子だね?」

ルーク「一応、ウサギっぽさも面影もあると言えばありますが……」

アヴィ「どういうことなんだ? 説明してくれ」

ナビット「はい、アヴィ王子! 僕、みんなから教わって、いっぱいいっぱい頑張りました。 おかげで、ちょっと大人になれた気がするんです!」

メディ「ウサギは大人になると人間になるのかな? ボクの辞書にはそんな記述は……」

ルーク「……すぐには信じがたいことですが、彼が言うからにはそうなのでしょう」

○○「……姿はともかく、お洋服、とても素敵だね。 こんなにかわいらしい王子様になったなんて……」

ナビット「……ううん、これは……」

メディ「どうしたんだい?」

言い渋るナビットくんに、メディさんが声をかける。

するとナビットくんは、泳いでいた瞳をまっすぐに戻した。

ナビット「僕、王子様になりたい! って思ってたんですけど……。 それよりももっと大切な自分の気持ち……夢に気づいたんです。 ポケットランドのお洋服が大好きだって気持ちに……!」

瞳を輝かせて、着ているジャケットを私達によく見せようと襟を正す。

ナビット「この服も素敵でしょう? 僕、ポケットランドのたくさんのお洋服とみんなが本当に大好きなんです!」

○○「そうだったんだ……うん、よく似合ってるよ」

アヴィ「いいことに気づいたんだな」

ナビット「はい! みなさんのおかげです。 みなさんとお話したから、ポケットランドの素敵なところが、わかるようになったんです♪」

アヴィ「そうか」

ナビット「……わっ、アヴィ王子、くすぐったいです! 頭、撫でないでください~」

帽子がずれ落ちそうになり、ナビットくんが眉を寄せて笑う。

ナビット「王子様にはなれなかったけど。僕、ポケットランドが楽しい世界になるようこれからも頑張ります! みんな、本当にありがとう! だから……あっ!」

○○「ナビットくん!?」

突然ナビットくんの体が光り出し、その輪郭が曖昧になっていく…―。

ナビット「きっといつかポケットランドにも、遊びに来てね!」

そう言い残したかと思うと、彼の体はそのまま、まばゆい光の中に溶け込んでいってしまった。

……

いつの間にか、日が傾きかけた花畑で…―。

ルーク「ナビットくん、不思議な子でしたね……」

メディ「ポケットランド……いつかボク達も行ってみたいものだね!」

アヴィ「ああ、そうだな、今度は皆でな」

こうして不思議な出会いと別れに、私達は胸を温かなもので満たしながら、旅を続けるのだった。

(ナビットくん、いつかまたあの笑顔に会えたら……)

そんな淡い期待を胸に秘めながら…―。

おわり。

<<月5話