月最終話 闇夜にまぎれて

夜の帳が下り、窓の外に広がる空には星々が煌めいている…-。

夕食を終えてからしばらくの間、私はソファに身を預けながらアルマリのことを考えていた。

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アルマリ「……今夜、決行しようと思うんだ」

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真剣な彼の声が、今でも耳に残っている。

(アルマリ、今頃どこかへ盗みに行ってるのかな)

(最終課題、成功しますように……)

そんな風に思っていたその時、遠くからフクロウの鳴き声が聞こえてきた。

(そろそろ寝ようかな……)

私はそっと、ソファから立ち上がる。

そうして、眠るための準備を始めようとすると……

(……あれ?)

窓の方からコツンと音がして、振り返る。

(今のって……?)

不思議に思いながら窓に近づいた、その時だった。

○○「……!」

突然窓が開き、一陣の風が吹き抜ける。

それと同時に、私の体はふわりと温かなものに包み込まれた。

アルマリ「こんばんは」

○○「アルマリ!?なんでこんなところから……」

(それに、突然どうして……?)

いるはずがないと思っていたアルマリが姿を現したことや、彼に抱きしめられていることに驚きを隠せずにいると……

アルマリ「奪い返しに来たんだ。 僕の……心を」

アルマリが私の耳元に唇を近づけ、そっと囁いた。

○○「アルマリの、心……?」

アルマリ「君に盗まれちゃった、僕の心」

○○「……!」

(私に盗まれた、って……)

その時不意に、修行を手伝っていた時のことが頭をよぎる。

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アルマリ「……君は、すごいね。 僕の……まで簡単に盗んじゃうんだから」

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(あの時、聞き取れなかった言葉って……)

すべてが繋がり、鼓動がますます高鳴っていく。

するとアルマリは、そっと私の頬に自分の頬を擦り寄せた。

(いつものアルマリじゃないみたい……)

奪うように強く抱きしめる腕や、普段よりも少し低い声……

それらに翻弄されて騒ぐ心を落ち着かせていた、その時だった。

アルマリ「だけど……」

囁きながら、アルマリはさらに抱擁を深くする。

○○「アルマリ……?」

アルマリ「……こうしている今も、どんどん君に惹かれているんだ。 だから……」

ぎゅっと、彼の腕に力が込められる。

そして……

アルマリ「僕の心は盗り返せそうにないから……代わりに、君の心をもらうね? 僕の……大切な宝物を」

耳元で囁かれた言葉が、私の心を大きく揺さぶる。

するとアルマリは、わずかに体を離し……

アルマリ「○○……好きだよ」

唇に、優しいキスが落とされる。

触れ合った場所から伝わる温もりや、彼がくれた愛の言葉達……

それらが、少しずつ胸に染み込んでいった。

○○「私も……」

離れていく唇に名残惜しさを覚えながら、想いを言葉に変えると、彼は、先ほどのように強く私を抱きしめた。

アルマリ「ありがとう。ずっとずっと、大切にするから」

耳元で囁いた後、アルマリが再び私にキスを落とす。

私はそれに応えるように、彼の背中へと腕を回した。

(アルマリ……)

身を任せながら、心の中でそっと彼の名前をつぶやく。

マリングラスに宝石のような星々が煌めく頃、闇夜にまぎれて現れた怪盗……

金色の髪と輝くひとみを湛える美しい怪盗に、私の心はすっかりと奪われてしまったのだった…-。

おわり。

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