月7話 これから盗むもの

さんさんと降り注ぐ日差しに、私は目を細める…-。

(いいお天気)

暖かな陽気に誘われて、城の中庭を歩いていると……

(あれは……アルマリ?)

アルマリは、ベンチに腰を下ろしてぼんやりと城を見上げている。

(なんでお城を見上げてるんだろう?)

○○「アルマリ、こんなところで何をしているの?」

アルマリ「あ……○○」

アルマリの膝の上には、トルマリから借りた少女漫画があった。

○○「もしかして、トルマリから借りた漫画を読んでたの?」

アルマリ「うん……この漫画にも、結構役に立つ知識が書いてあるから」

○○「え……?」

(役にって……怪盗にとってってことだよね?)

(でも、恋愛がメインのお話だったはず……)

私の気持ちを察したのか、アルマリはふっと、おかしそうに笑う。

アルマリ「やっぱり……不思議に思うよね」

○○「う、うん……」

アルマリ「トトリさんから借りた『怪盗入門講座』も、とっても参考になったけど……。 きっと……僕がこれから盗もうとしてるものに関しては、こっちの方が参考になると思ったんだ」

(この漫画を参考にした方が、盗みやすい物……)

(アルマリ、いったい何を盗むつもりなんだろう?)

アルマリの言葉で、私の疑問はさらに深まる。

○○「どんなことが参考になりそうだったの? 私には想像もつかないけど……」

そう口にしながら、アルマリの膝の上で開かれたままの漫画に視線を落とす。

けれど……

アルマリ「うん……まあね」

誤魔化すように言うと、アルマリは漫画を閉じてしまった。

(もしかして、見ちゃ駄目だったのかな)

(でも、どうして……?)

謎が謎を呼び、困惑していると……

アルマリ「……今夜、決行しようと思うんだ」

○○「それって……最終課題のこと?」

アルマリ「うん。そうだよ」

アルマリが、優しい笑みを浮かべながら頷く。

けれどすぐに、その瞳は真剣さを帯びた。

アルマリ「……必ず成功させてみせる」

○○「アルマリ……」

強い光を湛える彼の瞳を、私はまっすぐに見つめ返す。

○○「私も応援してるね。 でも、怪我だけは気を付けて?」

心からの思いを告げると、アルマリは再び笑みを浮かべた。

アルマリ「ありがとう、○○。僕、頑張るよ」

いつもの優しいものとは少し違う、私を安心させてくれるような笑顔……

様々な疑問は残ったままだったけれど、私はもうそれを尋ねることはせず、ただ、彼が無事に課題を終えられることだけを願っていたのだった…-。

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