月6話 広がる温もり

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アルマリ「僕にとって大切なもの、それは……」

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高鳴る胸の鼓動を落ち着かせながら、私は彼の言葉を待っていた。

けれど……

アルマリ「……よし。決めた」

○○「決めたって……盗むものを?」

アルマリ「うん。最近……とっても大事なものを盗まれちゃったから」

(えっ?)

アルマリ「正確に言うと、それを盗り返すのは難しいから……それに近い代わりのものを、ね。 他には、どうしても思いつかなかったから」

(それって……?)

戸惑う私とは対照的に、アルマリはにこにこと笑っている。

○○「大事なものって、何を…-」

尋ねようとした私の唇に、彼の人差し指が押しあてられた。

○○「……!?」

アルマリ「内緒」

アルマリは私の唇に押しあてた人差し指を、今度は自分の唇の前で立て、悪戯っぽく微笑む。

その姿に思わず見とれていると、やがて彼は窓の外に視線を向けた。

アルマリ「決まったら早速準備しないと……」

大事なものを盗まれてしまったはずなのに、アルマリの口調はどこか弾んでいる。

(アルマリが盗られたものって、いったいなんなんだろう?)

(それに……)

私の唇には、まだ彼が押しあてた指の感触が残っている。

(どうして……こんなにドキドキするんだろう)

その温もりは少しずつ胸の中に広がり、落ち着きを取り戻しつつあった鼓動を、再び高鳴らせたのだった…-。

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