月5話 芽生えた感情

(冷たい…)

その感覚に、そっと目を開ける。

(ここは…?)

ぼんやりと、荒削りの木の天井が見える。

城の兵士「お、起きたか」

○○「…?」

城の兵士「すまないな。あんたを逃がさないようにと、国王様のご命令なんだ」

(そうだ、私、何かで口を塞がれて…!)

体を起こそうとするけれど、手と足を縄できつく縛られていて身動きが取れない。

城の兵士1「次の指示があるまで、悪いがもう少しそのままでいてもらう」

(…!)

縄を解こうと力を入れても、手首を締めつけるばかりだった。

(寒い…)

再び意識が朦朧とし始めた時…。

言祝「○○!」

(…言祝…さん?)

言祝「お前達…今すぐここから立ち去れ!!」

城の兵士1「しかし、国王様が!」

言祝「俺の言うことが聞けないのか?」

城の兵士2「…」

言祝さんの剣幕に、見張りの兵士達は怯えながら去っていった。

言祝「○○…」

言祝さんはすぐに私に駆け寄ると、私を戒めていた縄を解いてくれた。

痣になってしまった手首の縄の痣を見て、彼は私を強く抱きしめた。

言祝「…すまなかった。こんな目に合わせてしまって」

○○「言祝さん…」

冷たくなっていた体が、言祝さんの熱で温かくなっていくことを感じる。

言祝「俺は、父上の言いなりのかっぽな人間だ」

彼は私を見つめながら、言葉を続けた。

言祝「でも…今、これだけは言える。 くだらない争いに君を巻き込みたくない」

震える手が、私の髪に触れる。

ゆっくりと撫でる指先から、言祝さんの優しさが伝わってきた…ー。

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