扉がゆっくりと開く音を聞きながら、私は慌てて白紙のカードに一言だけメッセージを記す。
なんとか最後の文字まで書き終え、私はとっさに服のポケットにカードを隠した。
(……間に合った)
シュニ―君の足音が聞こえた方へ椅子を向けると、彼はすぐ傍に来ていた。
(あれ……?)
ふと、甘い香りがシュニ―君の方から漂ってくる。
〇〇「あれ、シュニ―君……甘い匂いがします」
シュニ―「! 気のせいじゃない?」
シュニ―君は一瞬目を見開いたけれど、次の瞬間すっと顔を逸らしてしまう。
するとまた、ふわりと甘やかな匂いに鼻をくすぐられた。
〇〇「でも……」
(なんだろう、お菓子みたいな匂い……?)
シュニ―「ちょっと、何やってるの!」
シュニ―君がぱっと、私から距離を取る。
(なんの匂いだろう……)
なお首を傾げていると、彼はそんな私を見てため息を吐き…-。
シュニ―「はあ……もう少ししてから渡そうと思ったのに」
少し悔しげに眉を寄せて、小さな肩を落とすのだった…-。